1日3回の食事で「睡眠トラブル」を軽減する方法 「体内時計をコントロール」するための食事時刻とは

ドクター新潮 ライフ

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睡眠トラブルの改善にも有効な時間栄養学

 この時間栄養学は、現代人にとっておなじみの「睡眠トラブル」の改善に役立つ。寝付きが悪い(入眠困難)、寝ても途中で目覚める(睡眠維持困難)、朝の目覚めが早い(早朝覚醒)など、睡眠トラブルを訴える国民は約2割(「日本生活習慣病協会」調べ)と多い。とくに寝苦しい猛暑のシーズンが訪れ、すでにうんざりしている人もいるだろう。

「睡眠トラブルに悩む人は、時間栄養学を応用してほしいですね。食物の選択や摂取時間を工夫することによって、睡眠トラブルの改善が進むことは臨床でも証明されています」

 前述の通り、お手本は10時間以上の断食後に朝食を食べること。

【体内時計を上手にコントロールするための食事時刻の例】
朝食:朝7~8時
昼食:午後1~2時
夕食:夜7~8時

 もっとも、忙しい現代人が毎日決まった時間に3食をとることは不可能に近い。

「食事時刻を守れない状況で快眠を望むなら、就寝の2時間前程度以降は食べ物を口にしないようにしましょう。どうしても食べる必要がある場合、血糖値を上げるような食べ物は避けることです。体内時計の観点から、血糖値は夜に上がりやすいことがわかっています」

 夜に高血糖を避けたほうがいい理由は、血糖値が上がりすぎると体内時計をリセットさせやすいインスリン(ホルモンの一種)が多く分泌されるからだ。夕食後にデザートを食べて血糖値が上がりすぎた場合、夜間の中途覚醒の回数が増えるという実験結果も存在している。

 食べる量を変えることも効果があるという。

「一般的に食事分量は、朝:昼:晩が1:2:3という人が多いでしょう。これを1:1:1に変えてみてください。たとえば、夜に食べる一皿分を朝食に回します。そうして3食の量を均等化し、食事を夜型から朝型にする。夜の食事分量を少しでも抑えて糖分の摂取を減らせば、体を安らかに眠らせる方向性に向かわせることができます。逆に朝は、体内時計をしっかり動かすために、バランスが取れた朝食をしっかりとりましょう」

取材・文/段勲(ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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