1日3回の食事で「睡眠トラブル」を軽減する方法 「体内時計をコントロール」するための食事時刻とは

ドクター新潮 ライフ

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体内時計をコントロールすれば健康維持につながる

「何を」食べるかではなく、「いつ」食べるか――。体内時計(生体リズム)を考慮した栄養学を追究する「時間栄養学」は、まだ新しい学問の分野だ。米国で盛んに研究されており、日本でも2014年に時間栄養学学会が発足した。

 時間栄養学のベースは、我々の体内に存在する体内時計。体内時計は「時計遺伝子」によって形成されるメカニズムで、脳には「メイン時計(親時計・主時計)」、胃や肝臓、血管などには「サブ時計(子時計・副時計)」がある。

「時間栄養学は、学問的にはまだ日が浅い研究分野です。しかし、食べ物(栄養)の消化、吸収、代謝の違いが体内時計を大きく左右することがわかっています」

 そう語るのは『食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などの著書を持つ、愛国学園短期大学の古谷彰子准教授。古谷准教授によると、体内時計と時計遺伝子のはたらきを最大限に生かす生活は、健康維持につながるという。

 ただし、体内時計の周期は1日の24時間より少し長いため、ただ合わせているだけでは少しずつズレて昼夜が逆転する。しかも、全身にある体内時計の周期は一致していない。そんな複数の体内時計を一気にリセットしてくれるのが、太陽光と朝食だ。逆に言うと、体内時計は「光と朝食」によってコントロールできるのである。

 古谷准教授によると、体内時計のリセットは朝食を食べることで効果が出る。そのため、朝食を「いつ食べるか」が重要となり、理想的なのは最低で10時間の「断食後」。断食を12時間にした場合、夕食が夜7~8時の間なら、朝食は朝7~8時だ。朝食を抜いて昼にたっぷり食べるスタイルでは、体内時計が乱れたままということになる。

 もちろん、朝食の“中身”もポイントだという。

「理想的な朝食は、ご飯やパンなどの炭水化物とタンパク質の組み合わせです。タンパク質の中でも、魚の油に含まれるDHAとEPAは、体内時計のリセット作用が強いことがわかっています。また、納豆に含まれるビタミンKも、ぜひ朝に摂りたい栄養素です」(古谷准教授)

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