そろそろ「妻か不倫相手か」を選ばなければ…61歳夫が語った“なかなか決断できない本当の理由”【不倫の恋で苦しむ男たち】

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前編:妻は大病を患った後、「もうお母さん業を辞める」と宣言 戸惑う61歳夫にも微妙な心境の変化が【不倫の恋で苦しむ男たち】からのつづき

 松田拓憲さん(61歳・仮名=以下同)は、若い頃から周囲に「チャラい男」だと見られてきた。だが実際は、同い年の妻・由利さんと「ごく普通の家庭」を作ってきたと言う。そんな由利さんが突然“自立宣言”をしたのは、50歳を前にしたときだった。大病から快復したのをきっかけに、主婦業をやめて転職、大学院にも通いだした。変わっていく妻に触発されるように、拓憲さんも55歳で早期退職し会社を興した。

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 彼が起業して2年が経過したころのことだ。まだ会社は安定せず、苦労を重ねている日々だったが、お盆の時期に高校時代の同窓会があると知り、久々に実家に帰った。

「由利は子どもが大きくなってからは、僕の実家にはほとんど行かなくなりました。彼女の実家も遠方だったから、行くならそれぞれ自分の実家に行こうと話し合って。でも彼女はお盆やお正月を避けて帰省していた。50代になったばかりのころ、彼女の両親は相次いで亡くなりました。うちは両親が長生きで、父は90歳、母は88歳になったけど今も元気でふたりで暮らしているんですよ」

 4年前の同窓会は楽しかったが、それ以上に楽しかったのは、昔の幼なじみである亜樹さんとの再会だった。5歳年下の亜樹さんは隣の家の娘なのだが、親の離婚や再婚があって高校時代に悪い仲間とつるむようになった。そのまま高校を中退、行方がわからなくなっていた。

「そんな亜樹が実家に戻ってきているなんて、びっくりしましたよ。彼女のお母さんは再婚したものの、しばらくして離婚。でも亜樹は行方がわからないままだった。そう聞いていたのですが、実際には亜樹は40代になってから、ときどき母親の様子を見に来ていたみたいです。家の前でばったり会ったときは、お互いに相手を指さして笑い転げてしまいました」

「若い頃の男である自分」が立ち上がるのを感じ…

 兄妹同様に仲良しだった亜樹さんも、もう50代に入っていたのだが髪は金髪、年齢不詳に見えた。

「ふたりで地元で飲んだんですよ。彼女の人生は一晩では語り尽くせないほどだった。高校を中退して家出して、悪い男にひっかかって19歳で子どもを産み、その後、別の男と結婚してもうひとり産んだけど、そいつがひどいDV夫だったらしくて。『20代から30代は水商売をしたり、ときには風俗で働いたりもしたわよ』とあっけらかんと言っていました。それでも会ったときは下の子ももう30歳になると。私の子にしては上出来よって笑ってた。今は再婚して、夫と一緒に飲食店を経営しているって。女性ってすごいなあと思いました。妻とはまったく違う生き方をしているけど、亜樹のことも尊敬しちゃいました」

 波乱に満ちた人生を生き抜き、今も「攻めて生きている」亜樹さんは、彼にはまぶしい存在だった。結婚以来、「チャラい」わりには浮気など考えたこともなかった拓憲さんが、自分の中にふと「若い頃の男である自分」が立ち上がるのを感じた。

「女友だちはけっこういたから、ふたりで飲みに行ったりしたことはあるんですが、やはり家庭があって子どもがいるとなると、友だち以上の関係にはなりませんでしたね。友だちとしてつきあっていくほうが終わりがないから楽しいし」

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