宝塚を40年間愛し続けた男が買い集める「お宝」とは? 約100年前に発行された冊子も

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もともとモノへの興味はなかったが…

 創立当時の宝塚歌劇団の様子を活写し話題を呼んでいるノンフィクション『宝塚少女歌劇、はじまりの夢』。長きにわたり宝塚を愛してきた著者・小竹哲が語る、とっておきのお買い物とは?

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 長年の宝塚好きが高じて、『宝塚少女歌劇、はじまりの夢』という本を上梓させていただくことになった。典拠は専ら大正時代の宝塚の機関誌「歌劇」だが、同誌の広告欄に掲載されている劇団発行の書籍をネットの古書サイトで収集しているうちに、いっぱしのコレクターになりつつある。もともとモノにはあまり興味がなく、そっち方面への出費もなかったのだが、これは大変ヤバい兆候である。

 いちばん手を出しやすいのはお土産用の絵葉書だ。大正9年(1920)のお伽歌劇「文福茶釜」は屑屋の瀧川末子、和尚の高砂松子、“タイトルロール”の文福茶釜役の天津乙女の3ショット。天津は狸の被り物に着ぐるみ、茶釜を背負い四つん這いで顔も見えず、キャプションがなければ絶対に天津だとは分からない。のちに女性初の劇団理事となり、勲四等宝冠章を受章した天津にもこんな時代があったのだ。ひょいと上げた前足がかわいい(拙著の章トビラに使用)。

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