作家・須藤古都離が上原ひろみのライブを聴いて大学中退を決めた理由とは?

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真剣に聴いていないと振り落とされてしまうような音楽

 上原ひろみさんは有名な音楽家と共演したり、弦楽とピアノ五重奏のアルバムを作ったりと進化し続けている。だが個人的には、トニーとマーティンとのトリオが未だに一番好きだ。どんな演奏になるか、その場で聴いてみないと分からない。バラバラに崩れてしまうんじゃないかと思うほどの勢いと、そこから立て直す冷静さ。真剣に聴いていないと振り落とされてしまうような音楽だった。

 自分が何を目指しているのか、未だに分からない。またどこかで挫折して、小説家ではない何かを目指すことになるかもしれない。

 もがき苦しみ続け、終わりが見えなくても、どこかで道が切り開けるかもしれない。彼女の音楽がそれを教えてくれた。

須藤古都離(すどう・ことり)
1987年神奈川県生まれ。2022年「ゴリラ裁判の日」で第64回メフィスト賞を受賞しデビュー。7月に2作目となる『無限の月』を刊行。

デイリー新潮編集部

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