娘を失った母が激白「初公判を待ち望んでいた夫も亡くなった」 京アニ事件から4年、遺族の胸の内は
死亡36人、重軽傷32人。戦後最多の犠牲者を出した「京都アニメーション」の放火殺人事件から4年がたった。青葉真司(あおばしんじ)被告(45)の初公判が来月5日に迫るなか、遺族がその複雑な胸中を吐露する。
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「最初は犯人が憎くて、なぜあんなことをしたのか、どうしてもその口から聞きたかった。でも今は、とにかく早く裁判が終わってほしい、区切りをつけたいという思いも強いんです」
そう語るのは、犠牲者の一人、石田奈央美(いしだなおみ)さん(当時49)の母親(82)だ。
ようやくの初公判となった背景には、自身が起こした火災に巻き込まれ大やけどを負った青葉被告の回復を待ったことがある。現在は会話もできるようになり、最大の争点は責任能力の有無となる見通しだ。
「事件が起こって初めて、娘が有名な会社で活躍していることを…」
しかし、ここに至るまでの歳月は、遺族にとってあまりに長すぎたのかもしれない。前出の奈央美さんの父(87)が、今月に老衰でこの世を去ったというのだ。
「主人は生前“公判に行きたい。犯人がなぜ事件を起こしたのか知りたい”と語っていました。それを果たせなかったことだけが、無念だったと思います」(同)
最期まで事件のことを気にかけていたが、過去には進路を巡り娘と口論になることもあったという。
「娘が就職したころ、主人は“そんな内職みたいな仕事を”と大反対だったんです。そんな中、娘は入社してすぐ『ドラえもん』のポスターを手掛け、それが新人とは思えない出来だと社長から直々に褒められた。才能があったんでしょうね。皮肉なことに、事件が起こって初めて、私も主人も娘が有名な会社で活躍していたことを知ったんです」(同)
アニメの色使いを決める「色彩設計」の担当として30年近く働いていた奈央美さん。事件当日も「会議があるから」と慌ただしく出勤したが、そのまま帰らぬ人となった。突然の死にまだ気持ちの整理がつかないそうで、
「娘の遺骨は手元に置いたままです。判決が出れば、それを機に納骨できると思うのですが……」(同)
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