日銀の金融引き締め なぜ中国人富裕層が一番慌てている?
〈日銀、金利操作を柔軟運用 上限0.5%超え容認案〉
日経新聞の電子版がこう報じたのは7月28日の午前2時のこと。日本銀行が2016年9月以来、初めて「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」の柔軟運用に踏み切ることをスクープしたのだ。
全国紙経済部のデスクが解説する。
「日銀はデフレ対策のため、昨年度だけで約136兆円の国債を買い入れ、大量のマネーを供給し続けています。いわゆる量的緩和です。それに並行して、政策金利をコントロールするため、特定の国債(主に10年以上の長期国債)を買い入れてきました。これがイールドカーブ・コントロールです。長期金利が0.5%を超えると日銀は“買い”を入れ、強制的に上昇を抑えるのですが、今回はそれを1%程度まで許容する。つまり、日銀は国債を買いまくるという手法で行ってきた金融緩和の“終了”を匂わせたわけです」
これに反応した株式市場は一時800円以上乱高下し(28日)、金融機関は住宅ローンの固定金利の引き上げに踏み切った。いずれやってくる緩和終了を予想しての現象だが、意外な人たちも動揺している。
1棟42億円の物件も
インフィニティのチーフエコノミスト・田代秀敏氏によると、
「首都圏のタワマンなど高額物件を買い漁っている中国人富裕層です。彼らの日本の不動産に対する購買欲は旺盛で、中国で使われるSNSを検索すると首都圏の高級マンションの広告がこれでもかというほど登場する。中には東京・港区東麻布の6階建て1棟で42億円超という物件もあります」(同)
この中国人向けの不動産広告には、転売ヤーに狙われたあの晴海フラッグも出てくるが、彼らの投資熱に資金を提供してきたのが、中国の銀行だ。
「低金利で日本円を調達して、中国の銀行は、中国人投資家にどんどん貸し付けてきました。例えば国有の中国銀行の東京支店は中国のSNSに“中国銀行は日本への投資の第一候補です”と謳い、居住者、非居住者を問わず“大多数の中国人が日本で住宅を所有する理想を実現するのに役立ちます”と広告を打っている。低金利で不動産を買いまくってきた彼らが金融緩和の終了に伴う金利上昇に敏感なのは当然です」(同)