バイきんぐ・小峠が本気で悔しがった錦鯉のM-1決勝 「人生を変えるかもしれない大舞台。これは勝てないなと思った」

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 今やライブのチケットが最も取りにくい芸人の筆頭に挙げられるバイきんぐ。毎年恒例となっている彼らの単独ライブの時期がやってきた。小峠英二(47)と西村瑞樹(46)の二人は、バラエティ番組を中心に、司会やキャンプ芸人など、テレビで見ない日はないが、本職であるコント作りを怠ることはない。13回目となるライブを前に、近況からネタ作りの裏側、コントで重要視していることなどを聞いた。(前後編の前編)

ハゲと裸と迷彩服が売れる事務所

「楽屋へ来い」

 2020年12月21日、突然の呼び出しを受け、漫才コンビ・錦鯉の長谷川雅紀(52)と渡辺隆(45)は緊張していた。前日の20日、二人は「M-1グランプリ」で初の決勝ラウンド進出を果たした。「史上最年長のファイナリスト」であるだけでなく、長谷川の歯が8本ないことも話題を集めていた。結果は4位ながら異色のコンビに注目が集まることになる。

 翌日から忙しくなった錦鯉が仕事でテレビ局に訪れると、偶然、同じ事務所の芸人も来ていた。二人が来ていると知ったその人物から「楽屋へ来い」との呼び出し……そこには小峠が待っていた。

「何でだよ! 何でパチンコなんだよ!」

 錦鯉が決勝でかけたネタは「パチンコ」。長谷川がパチンコ台に扮し、リーチがかかるたびに「まさのりダンス」や「レーズンパンは見た目で損している」などのギャグが入り、大当たりしないという設定だった。このネタ選びに小峠はダメ出しをしたのだ。

「人生を変えるかもしれない大舞台なのに、パチンコをやる人しか分からないネタは良くないと思いました。ネタが始まった瞬間、これは勝てないなと思ったんです」(小峠)

 どうして錦鯉が「パチンコ」のネタをかけたのか、その理由は彼らの著書「くすぶり中年の逆襲」(新潮社)に詳しいのでここでは触れないが、小峠にダメ出しされた際の渡辺の気持ちを記した箇所だけ紹介したい。

《かなり怒られたね。でも、本気で悔しがってくれていたからで、物凄く嬉しかったけど》

 錦鯉が抱いた「悔しさ」を、翌年、小峠も見事に晴らすことになる。2021年、順調に予選を勝ち進んだ錦鯉は、2年連続で「M-1」決勝進出を決めた。本番は12月19日。年末の過密スケジュールをこなす中で、小峠に加え錦鯉の恩人で事務所の先輩のハリウッドザコシショウ(49)の二人が、仕事が終わった錦鯉のネタ合わせに立ち合っていた。

 バイきんぐは2012年「キングオブコント」優勝、ザコシショウは2016年「R-1ぐらんぷり」優勝(ちなみに史上最年長の42歳)である。文字通り「人生が変わる」賞レースを制した2人が、錦鯉にネタや構成のアドバイスを送ったのだ。

「錦鯉も売れて、アキラ100%(48)に僕とザコシショウで、見事に『ハゲと裸しか売れない事務所』なんて言われましたけど、ウチはみんな仲がいいんですよ。この時も仕事が終わった後で集まって、本番ギリギリまで付き合いました。前の年のことがあったので、今年は絶対に優勝して欲しいと思っていましたから」(小峠)

 結果はご存知の通り。史上最年長のM-1王者誕生は、全国に感動の嵐を呼んだ。彼らの所属するソニー・ミュージックアーティスツ(以下SMA)は、見事お笑い賞レース3冠を達成する。

「いざという時に総合力を発揮するというんですかね。芸人同士、横のつながりも強いです。ハゲと裸に今は迷彩服が加わりました。(元自衛官でピン芸人の)やす子(24)がね、今調子いいんですよ」(小峠)

 事務所の芸人たちが活躍する姿を見るのが嬉しいのだろう。また、そうなるための協力も惜しまない。3冠を達成したSMAの魅力は、こんなところにあるのかもしれない。

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