自民も戦々恐々…“身を切る改革”の「維新」は、最大の聖域「医療費」に切り込めるか

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“第二自民党”ではないことを示せるか

 一方で医療費削減に向けた改革は自民党にはできないのか。自民党内でも「明るい社会保障改革推進議連」が「健康への投資」を促す提言を出しているが、改革論議はまだ緒についたばかりだ。自民党幹部は渋い表情で語る。

「日本医師会を始めとする医療関係団体は、自民党の強力な支持組織です。だからこそ口も出してくる。岸田総理が6月に少子化対策の財源を社会保障費の歳出削減で捻出する方針を示しただけで、早くも『まさか医療費は削らないよな』と強烈な圧力がかかっています。へたに関われば選挙で落選運動を起こされかねない。国民だって、税収も伸びているし足りなきゃ国債で賄えばいいじゃないかという考えでしょう。必要性は分かっていても、よほど危機的な状況にならない限り手は出せないと思います」

 馬場伸幸代表がインターネットTV「ABEMA的ニュースショー」で発した「(維新は)第二自民党でいい」との発言が物議を醸した。保守二大政党で改革を競うという趣旨だと言うが、維新は自民党の補完勢力に過ぎないという見方は未だ根強い。維新が大きな政策テーマで自民党との違いをどこまで鮮明に具体的に打ち出せるのか。次の総選挙の帰趨を左右することになる。

青山和弘(あおやま・かずひろ)
政治ジャーナリスト 星槎大学非常勤講師 1968年、千葉県生まれ。元日本テレビ政治部次長兼解説委員。92年に日本テレビに入社し、野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップを務める。21年9月に独立し、メディア出演や講演など精力的に活動している。音声プラットフォーム「voicy」で永田町取材やメディア出演の裏話などを発信している。

デイリー新潮編集部

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