「朝食抜き、甘い朝食はNG」「アボカドは記憶力にも効くスーパーフード」 スタンフォード式「本当の疲労対策」をプロが伝授

ドクター新潮 ライフ

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「セントレーション」

 次に、体のバランスについて説明したいと思います。姿勢が歪むなどして体のバランスが崩れると、中枢神経と体の各部位の連携がうまくいかず、疲労を招くことはすでに説明した通りですが、そうならないために必要なのが「セントレーション」です。体の歪みをなくすべく、左右対称を意識して体の中心を保ち、例えば足を組んだりして体の一部だけに負担をかけることがないように心がけるのです。

 満員電車で見かける典型的な「疲れた人」はどんな人でしょうか。もたれかかるようにして片手で吊り革にぶら下がっている人はそれに当てはまるでしょう。その人は、もし吊り革を切り落してしまったら途端にバランスを崩して立っていられないはずです。つまり、セントレーションができていない状態です。可能な範囲で、どうせ吊り革につかまるなら両手で2本持ち、左右均等に体重をかけることを意識したほうがいいでしょう。

楽をしようとすると体に負担が

 そのセントレーションを意識するために、スタンフォード大学では「腹圧呼吸(IAP呼吸)」を実践しています。息を吸う時も吐く時もお腹の周りを膨らませることで、体の中心が筒のような状態となり脊柱と体幹が安定する。こうすることで、中枢神経と体の各部位の連携うまく行われ、疲労防止になるのです。

 赤ちゃんを考えてみてください。彼らは筋肉が発達していない分、セントレーションしてバランスを保たないと立ち上がれません。ところが大人は、床に片手をつき、それを支えにするなどして筋肉の力で立ち上がる。これは筋肉を使って“楽”に立とうとしているわけですが、それは同時に体のバランスを崩しているともいえるのです。

 楽をしようとして結局は体の一部に負担をかけて疲労を招いてしまう。赤ちゃんの例からも分かるように人間にとってセントレーションこそがナチュラルな状態であるのに、大人になるにつれ知恵をつけて脳が「楽」を覚え、あるいは脳に「癖」が染みついた結果、「歪み=疲労の原因」が蓄積されてしまっているのです。セントレーションの重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。

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