「朝食抜き、甘い朝食はNG」「アボカドは記憶力にも効くスーパーフード」 スタンフォード式「本当の疲労対策」をプロが伝授

ドクター新潮 ライフ

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「朝食抜き」を禁止する理由

 そして、選手たちに対して特に注意し、避けるように促しているのが血糖値スパイクです。例えば朝食抜きで昼食をドカ食いする。空腹時の低血糖から急激に高血糖となり、その後急激に血糖値が下がるというのが血糖値スパイクの典型例ですが、血糖値スパイクが続くと血液中に糖が余り、眠気や疲労の引き金となる。そのため選手には朝食抜きを禁止にしています。

 同時に、選手たちには「腹八分目」を徹底しています。満腹まで食べると消化に時間が掛かり倦怠感をもたらし、その間のパフォーマンスは下がってしまいます。逆に腹八分目でとどめれば、消化に回される血流が多くなり過ぎないため、食後の眠気や疲労感を防ぐことができます。従って、選手たちには腹八分目を指導する。その代わりに、間食を認めています。間食をすることで1回の食事で満腹になることを防げますし、長時間にわたるエネルギー切れも防止でき、疲労予防・解消に役立つからです。

 間食用として選手たちは、タンパク質やミネラルといった栄養価が高いナッツ、また疲労回復効果のあるビタミンが豊富なバナナ、リンゴ、オレンジといったフルーツをよく食べています。

NG食は…

 さらに、疲労対策としては「料理の手抜き」もお勧めです。

 スタンフォード大学の遠征先ホテルのサラダバーには生の野菜がズラッと並んでいます。日本ではゆでるのが主流のブロッコリーやカリフラワーも生のまま。なぜなら、ゆでることで栄養分が流れ出てしまうからです。ブロッコリーやカリフラワーにはストレスに強い体を作るビタミンC、セロリには疲労回復効果があるビタミンBが多く含まれています。その栄養を丸ごと摂取するためにも、水で洗っただけのサラダを食べる。何も手を施さない生のままのサラダは手抜きに思われるかもしれませんが、これこそが疲労対策に役立つのです。

 逆に、アスリートが絶対に口にしない疲労を招くNG食は「甘い朝食」です。例えばフレンチトーストやパンケーキ。これらはほぼ糖質なので血糖値スパイクを招きやすい。それは、一日を「疲れやすい体」にして始めることを意味します。同じ理由から、スタンフォード大学の選手たちは、試合や練習中の栄養補給(糖質はすぐにエネルギーになるため)以外の目的では甘い清涼飲料水は飲みません。水分補給の基本は水ということにしています。

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