「朝食抜き、甘い朝食はNG」「アボカドは記憶力にも効くスーパーフード」 スタンフォード式「本当の疲労対策」をプロが伝授
暑い、しんどい、だるい。酷暑がこうも続くと、元気でいろというほうがムリな話。その上、仕事は忙しくなるばかりとくれば何人(なんぴと)も疲労対策が欠かせない。だが、体を休ませればいいという単純な問題ではなく……。スポーツ医学が導く「本当の疲労対策」とは。【山田知生/スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクター】
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長時間職場にいることをいとわない日本人の労働時間が欧米に比べて長いことは広く知られています。事実、日本の30~50代の3割弱が「ここ1カ月間、睡眠で休養が十分にとれていない」と回答したという厚生労働省の調査(2016年国民健康・栄養調査)も存在します。つまり、日本は「疲労大国」なのです。
何となくしんどい、だるい、体が疲れていて思うように動けない、働けない……。少なくない人が日常的にそう感じ、日本人にとっての「一大健康問題」であるにもかかわらず、果たしてどれだけの人がしっかりと「疲労」に関する対策をできているでしょうか。その証拠に、疲労とは何か、そのメカニズムを意識し、正しく理解できている人はほとんどいないと思います。
例えば、先ほど何気なく「体が疲れていて思うように動けない」と書きましたが、実はこの表現は正確ではありません。もちろん、急激に激しい運動をして極度の筋肉痛に襲われているケースは別ですが、みなさんが日常生活で感じている多くの疲労は、単に「体が疲れている」わけではないのです。
疲れとは神経と体の連携が崩れて起きる現象であり、実は疲労の原因は脳にある場合が多い。従って、巷間広まっている「体=筋肉」に蓄積される乳酸こそが疲労の正体であるという考え方は誤解であり、ナンセンスなのです。
疲労の新常識
〈こう説明するのは、米スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクターで同大アスレチックトレーナーの山田知生(ともお)氏だ。
スタンフォード大学は学問においてはもとより、多くのアスリートが輩出しているスポーツの名門大学としても知られる。例えば、12年のロンドン五輪では同大から40人の学生が出場し12個の金メダルを獲得、また多くのメジャーリーガーやプロバスケットボール選手など、トップアスリートを育ててきた。
そのスタンフォード大学のスポーツ医局でアスリートたちの心身のケアをし、アスレチックトレーナーとして選手の疲労対策に尽力してきた山田氏。そんな「疲労対策のプロ」が、医学、脳神経科学、栄養学等に基づいた同大の知見を踏まえて、「疲労の新常識」を解説する。〉
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