4千回の実地調査で見えた「良い高齢者施設の見分け方」 オススメの11施設をプロが紹介!

ドクター新潮 ライフ

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チェックすべき「従業員の総数」「食事」「入居金」

(1)従業員の総数が入居者数の8割以上であること

(2)食事は自前調理の直営食堂で供される家庭料理が基本であること

(3)介護保険報酬で適用外のサービスも提供していること(見守りやゴミ捨て、買い物の代行、散歩の補助、個人的な相談への対処など)

(4)勤続3年未満の現場スタッフが全職員の2割以下であること(つまり離職率が低い)

(5)入居金(または入居一時金、前払い家賃)を償却月数で割った額に毎月の請求額を加え、それを従業員総数で割った数字が小さいこと(金額が同程度の施設であれば、数字が小さいほどスタッフの数が多いことを示す。高齢者施設において少数精鋭は無理。ただし、食事やサービスのボリュームが削減されていないかどうかには注意する必要がある)

(6)災害など非常時用の食料や飲料水、簡易トイレといった備蓄品が足りていること(最低5日分以上)と、それらの保管場所が適切であること(地下室や倉庫など一カ所だけにまとめられていない)

スタッフのどこを見る?

(7)入居者それぞれに役割や出番が確保されていること(コミュニティーへの参加は自分や他人の存在意義を再確認させ、生活環境を居心地よく感じさせる)

(8)経営者や施設長、そのほかすべてのスタッフが介護に向いた人物であること(介護への情熱、謙虚さ、入居者への誠実で正直な対応。経営者や施設長には高いコミュニケーション力をはじめ、介護作業の経験と知識の有無、哲学的な理念や倫理観、加齢への深い理解と共感、優れた死生観なども求められる)

(9)過剰な利益至上主義や株主・投資家優先の経営方針でないこと(黒字経営は当然としても、入居者とその家族、職員の満足や待遇を優先している健全経営であることが大切)

(10)認知症ケアに特化したスタッフがいて、経営者も現場も夜間の徘徊、大声を発する、怒りをあらわにするなどの症状も嫌がらない、避けない施設。また、看取りが必要な入居者へのケアが充実しており、信用に足る実績があること

(11)スタッフが自身の職業に誇りややりがいを感じており、高いモチベーションや責任感を持っていること

(12)経営者が施設や不動産を、M&Aの対象やREITなどの金融商品として扱っていないこと

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