心疾患リスクを上げる“3つの白い粉”に要注意 「ロボット心臓手術」世界的権威の日本人医師が警告

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ラーメンを「食べるな!」とは言わないが…

 渡邊医師は心疾患リスクを高めるものとして、いつも食卓に並ぶ“3つの白い粉”を挙げる。

【心疾患リスクを高める3つの白い粉】

1:塩

 世界保健機構(WHO)の指標によると、1日分の塩分摂取量の目安は成人で5g未満である。しかし厚労省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、1日分の塩分摂取量の日本人平均は10g強と、WHO指標の2倍だ。これは日本人が好むみそや醤油、つけものと無関係ではないだろう。

 さらに、現代ではラーメンを好む人も多い。ラーメン一杯の塩分は種類によって約6gに達する場合もあり、それを汁まで飲み干すと7gに増える。1日分の塩分摂取量がラーメン一杯で終了してしまうのだ。そこにみそ汁やつけもの類などが加わると、やはり塩分の摂り過ぎになる。

「ラーメンを食べるなとは言いませんが、汁まで飲むことはお勧めできません。体内に入った塩分は水と一緒に溶け、そうして取りすぎた塩分はまず生活習慣病の筆頭『高血圧』を招きます。それにより、血管を壊し、心臓機能に大きな負担をかけることになるのです。最近は岩塩や天然の食塩といった塩類も人気ですが、塩にいいも悪いもありません。塩は塩です。常日頃から『塩分の摂り過ぎは健康を害する』と強く意識していただきたいですね」

2:砂糖

 WHOのガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」では、一日の摂取量目を「一日の摂取カロリーの5%未満」に抑えるべきだとされている。量で言うと、平均的な成人で25g程度(1個3.3gの角砂糖7.5個分)だ。

 市販品の成分表示で糖分の含有量を確認する場合は、「糖質」「糖分」「食物繊維」をまとめた「炭水化物」を確認する。たとえば、代表的なコーラ飲料は100mlあたり炭水化物11.3g。食物繊維はほぼ含まれていないので、500mlのペットボトルサイズなら5倍の56.5g、角砂糖にして約17個分になる。

「糖分の摂り過ぎでとくに心配されるのは、生活習慣病を導く肥満や糖尿病です。膵臓から出されるインシュリン(血液の中で、糖をエネルギーに変えるホルモン)が低下すると、血液の中の血糖値が上がり、糖尿病を招きます。糖尿病は細い血管を痛めることにもなるので、血管系の病気を誘発するのです。塩分と同様に砂糖(糖分)の過剰な摂り過ぎも、十分に注意すべきでしょう」

3:小麦粉

「米よりパン派」の人も多いだろうが、渡邊医師によると小麦粉の摂り過ぎも健康を害し、心臓病への導火線になるという。

「小麦粉など穀物に含まれる炭水化物はエネルギー源です。米粒やホールの小麦に比べ、粉末となった小麦などは栄養としてとても吸収しやすく肥満になります。また、パスタなどは作られる際に大量の塩が使われます。それが体に吸収されると肥満や糖尿病を起こし、結果的に心臓の機能を破壊するのです」

取材・文/段勲(ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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