「夏の甲子園」で勝敗を分けた“疑惑の判定”…世間を騒がせた「誤審騒動」を振り返る!

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「人生まで変えてしまうアウト、セーフ」

 だが、VTRでは、渡辺が離塁した直後の西村の背中にタッチするシーンがはっきり映っており、空タッチには見えなかった。

 逆転は厳しい状況とはいえ、2対6と2対7とでは、追う立場の境にとって、当然モチベーションも違ってくる。9回は上位からの攻撃だったにもかかわらず、3者凡退でゲームセットとなった。

 試合後、運営側は「(離塁後の)三塁走者へのタッグ(タッチ)行為はあったが、タッグはできていなかった。本塁生還は認められる。審判は目視で見ているが、ビデオ判定はしていない」(日野高審判副部長)と説明した。

「審判の判定は絶対」とされていた時代ならではの対応と言えるが、昨春のセンバツ1回戦、広陵対敦賀気比で審判が誤審も認め、謝罪するシーンが見られたように、近年は柔軟な姿勢に変わりつつあるのも事実。“疑惑の判定”に対しては、これからも臨機応変の対応を望みたい。

 冒頭で紹介した神奈川大会決勝戦のように、野球解説者の高木豊氏が評した「人生まで変えてしまうアウト、セーフ」はもう見たくないというのが、ファンの正直な思いだろう。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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