超豪華「VIVANT」はドラマではなくショー、莫大な制作費を回収で“ツメの甘さ”も…辛口コラムニストが徹底分析した

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

ドンデン返しはあるか

林:逆に言えば、「VIVANT」は古い枠組みを使っているわりには、その名のとおり、なんだか元気で活発なんだよ。あれ見て素直に楽しめる人が羨ましいくらい。若くてエネルギーがあって暇があって、考えても疲れないか、そもそも考えずにいられるか、そういう人だもの。TVを見るのに頭なんか使わないアナタにお勧めする商品です……なんて言ったら、また怒られるかもしれないけど。

アナ:今のくだりはカットになると思いますが、見ていて疲れるという感覚は私にもわかります。これこそ古い言い方ですが、ジェットコースタームービー系ですよね。

林:それそれ! ただ、ワタシはもうコースターの先頭に陣取って物語の展開ごとにキャーキャー騒ぐような真似はせず、真ん中あたりにおとなしく座り、先行きをあれこれ詮索するのもやめて、後は最終回の落着あるいは絶叫マシーンのホームへの到達まで、ただ眼を回しながら眺めていようかなと。

アナ:あれ、先ほどは最高のドラマになるか最後まで期待していると言っていたのに。林さん、だいぶ疲れてますね。

林:堺が巻き込まれたことになっていた「大きな渦」というのは、テントとかいう国際テロ組織のようなんだけれど――この設定も途中でドンデン返しがあるのか?――、そのラスボスが誰だとしても、ワタシゃ驚きません。献身的な医者の二階堂ふみとか、彼女が日本に連れてきた遊牧民の病身の少女とか、その少女の死んだはずの父親でもいいし、キュートな富栄ドラムでも、主演の堺でも阿部でも、意外に早く物語から降りちゃった感のある小日向でもいいし、砂漠で頑張ったラクダでも、もう本当に誰でもいい。

アナ:ちょっと……体調、大丈夫ですか?

林:あるいは、これから後半に登場しても誰も驚かない武田鉄矢だったり、いや、ラスボスは福澤……という楽屋オチ系メタフィクションさえアリかな。さらに、ショーが全部終わった後に「カット!」という福澤の声がかかってスタジオが明るくなり、そこに「半沢」の大和田常務が黄緑色も鮮やかなカマキリの着ぐるみ姿で現れて一言、「おしまいdeath!」とか。

アナ:……ええ、猛烈に暑い日が続いております。TVをご覧の皆様も、ぜひエアコンを適正に使用するなどして、命と正気を守る行動をとってください!

【了】

林操(はやし・みさお)
コラムニスト。1999~2009年に「新潮45」で、2000年から「週刊新潮」で、テレビ評「見ずにすませるワイドショー」を連載。テレビの凋落や芸能界の実態についての認知度上昇により使命は果たしたとしてセミリタイア中。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[5/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。