夏の風物詩「テキヤ」業界のいま たこ焼きは700円時代、空洞化が進む原因、キッチンカービジネスに参入するケースも 暴対法とは無縁の“スローライフ”
外国人露天商の実態
昼時のオフィス街などで、お弁当を販売するキッチンカー(移動調理販売車)をよく見かけるようになった。
露店での商売という共通点から、キッチンカービジネスに興味を持ったテキヤは多いそうだ。調理や接客といった作業も、テキヤでの経験がそのまま活かせる面も多いので即開業も可能なはずだが、先述した「人手不足」が原因で、キッチンカービジネスに参入しているテキヤは少ない。
キッチンカー業界は脱サラ組や若手女性経営者の活躍が目立つが、こちらの業界も人手不足に悩まされている。その隙間に入り込むようにして、外国人が経営するキッチンカーが増えている。“街のケバブ屋さん”を思い出す人もいるだろう。
昭和や平成の時代は、外国人バックパッカーたちが営む指輪やネックレスなどの装飾品の路上販売が盛んで、繁華街に行けば必ず彼らの姿を見かけた。それがいつの間にか姿を消し、空いた場所に外国人が経営するキッチンカーが陣取るようになった。
装飾品の路上販売をしていた頃から違法薬物の販売を兼ねていたケースも多く、たびたび地元の暴力団とトラブルを起こしていた。キッチンカーに成り代わってからは暴力団との目立ったトラブルは少ないが、彼らはなぜか町の習慣や祭の作法などを守る意識が低く、たびたび警察から指導を受けている。
外国人露天商と半グレ
お祭りに出店する際、交通規制や雑踏整理の観点から、所定の場所にしか出店ができない。ところが彼らは、お構いなしにキッチンカーを路駐して営業をする。むろん地域の組合や協会に加入することもない。どこからともなくフラッと現れて素知らぬ顔で営業をする。そして巡回している警察官に発見され、即逮捕とまではならないが、とりあえずキッチンカーの撤去を求められる。
また、昔から常習化しているように、違法薬物の受け渡しルートの拠点のひとつとして稼働しているキッチンカーも少なくない。暴力団とは関係なく、彼らが独自の外国人ルートで仕入れた違法薬物を、在留外国人コミュニティーの営業力で売り捌くのである。客筋は在留外国人だけでなく日本人も多い。
こういった外国人たちは、縄張り意識が強い地元暴力団とはそれなりのつき合いもするが、その意識が薄かったり、高齢化で手が回らない暴力団は一切無視するようである。
ちなみに、半グレ連中との接点はほとんどない。それは、半グレたちがキッチンカーや路上販売などにまったく興味がないからだろう。外国人商売人のほうから半グレたちに近づく理由もないので、今のところ両者の接点は特にはない。そして、外国人商売人たちは日本の各町を侵食していくのである。
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