防衛医大から自衛隊病院で激務の3年間…セクシー女優「吉川蓮民」が語る、家庭不和の幼少期から世田谷区議選出馬まで
400万円を返さなければならない
防衛医大を卒業すると、全国にある自衛隊病院で勤務することになっていた。蓮民の志望は都内の自衛隊中央病院、兵庫県の阪神病院だったそうだが、配属されたのは福岡病院だった。ここでの約3年間の勤務で、彼女は適応障害とパワハラの憂き目にあう。
「激務だったといえばそうなのですが、いざ看護師になってみると、同時にアレもやってコレもやってのマルチタスクが、自分は苦手だと分かったんです。次第に寝つけなくなり、仕事中に涙が止まらなくなり……。適応障害と診断されましたが、その時に『何らかの発達障害を有する』といわれたので、正確な診断はされていないものの、そうした傾向が私にあるのかもしれません。それで2年目からは夜勤のない発熱病棟に移らせてもらったのですが、そこは昔気質の職場というか、先輩が『若手はゴミ捨てでもやっておけ』というような態度。手取りで月20万円ほどの給料に加え、コロナ禍で手当てもついた、金銭面では恵まれた職場だったのですが……『長くは続けられないな』『辞めるなら若い今のうちだな』と思うようになりました」
だが、そこにお金の問題が立ちふさがった。防衛医大の卒業生は、一定期間未満で退職すると、免除されていた学費の返済義務が発生すると自衛隊法で定められている。3年で自衛隊病院を辞める蓮民の場合は、約400万円を返さなければならない。しかも「退職の翌月に一括で、延滞すれば年利14.5%」という厳しい条件だったそうだ。夜の仕事に就く動機のベスト3に「奨学金の返済」は確実に入る。取材をしてきたこの30年間で、そういった女性に私は何人に会ったか、数えきれない。彼女も同じケースだといえる。
同じように辞める看護師もいるにはいた。だが実家が立て替えたり、「結婚相手の医者」が払ったりという場合がほとんどだったそうだ。学生時代から交際を続け、別の自衛隊病院で医師になっていた彼氏にも相談したが、答えは「NO」だったという。
「だから、辞めるのを見越して、お金を貯めるために性風俗店で働き始めたんです」
返済に加え“お直し”費用も
もともと夜職で働く女性のYouTube配信を通じ、どのような仕事なのかの知識はあった。キャバクラで働くことも考えたが、身バレを考えれば「一対一のほうがリスクは低い」。看護師という立場からコロナに罹るわけにもいかないから、接触する人数の絶対数が少ない店のほうが都合がよかったのだと振り返る。
研修のため、4カ月間だけ都内の中央病院に行く機会を利用した。平日は看護師、土日は吉原の店で働く生活を始める。男性経験は学生時代からの彼氏ひとりだけだった。
「求人サイトで探した、50分1万5000円の激安店です。まずはこの業界で稼げるのかどうかを見極めたくて。23歳と私は若かったし、他の女性たちは“ふくよか”な体型の方も多かったので、自分でいうのもなんですが、人気嬢になりました」
なお、自衛官の副業は禁じられている。世田谷区議選に出るにあたり、当初は「自衛隊を辞めた後に性風俗店に勤めていた」と経歴を偽っていたが、のちに「嘘をついてしまって大変申し訳ございません」と謝罪会見を開いている。
東京での研修を終え福岡に戻った後も副業は続け、今度はエステ系の店で働いた。
「職場と同じ地域ですから、事前にモニターで客の顔が確認できる必要があったんです。それと、万が一性病にかかった場合、上司に報告する義務がある。ストレスでもなるカンジダ程度ならまだしも、言いわけできないような性病にはかかれないので、ソフトなサービスに切り替えました」
400万円はすぐに貯まり、後々には整形代300万円もこの仕事でまかなったというから、やはり人気嬢だったのだろう(鼻筋と瞼、歯のセラミックを“お直し”したと公表している)。驚くことに、彼氏にもこの仕事のことは明かしていたそうだ。
「バレたらまずいよ、とかごにょごにょ言っていたので嫌だったのでしょうが、どうこう言われる筋合いはないので 笑」
長く交際している恋人なのだから、その理屈は通用しないと思うのだが……。彼女の言葉の端々からは、お金を肩代わりしてくれなかった彼氏への「当てつけ」の意思も感じたが、気のせいだろうか。
とはいえ、無事に貯金も貯まった。希望していた研修への参加が直前で断られたことも手伝って、いよいよ退職の意思が固まった。そして2022年の3月末をもって自衛隊病院を辞める。そこから彼女の人生は大きく動き始める。
[2/3ページ]