防衛医大から自衛隊病院で激務の3年間…セクシー女優「吉川蓮民」が語る、家庭不和の幼少期から世田谷区議選出馬まで
セクシー女優の吉川蓮民(26)は、元幹部自衛官かつ、政治家を志す異色の存在だ。今春の統一地方選に実際に出馬してもいる。『売る男、買う女』(新潮社)などの著書があるノンフィクション作家の酒井あゆみ氏が彼女の半生を取材した。
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蓮民(はすみん)という珍しい名前から勘違いされることが多そうだが、これは彼女の本名である。「ジャスミン」から連想し親が命名したという。4月の世田谷区議会議員選挙にも「吉川はすみん」の名で、政治家女子48党から出馬した。
政治家女子~といえば“ぶっ壊す!”でおなじみNHK党の後身政党だ(8月9日に党名は再び「NHKから国民を守る党」に戻った)。現役のセクシー女優、元自衛官という経歴を活かし迷彩服で選挙戦に臨むも、イロモノの扱いは免れなかったか。得票数1263票であえなく落選したが、本人は「1000人以上が投票してくれたことに驚きました」と振り返る。
「3600票前後とされている投票ラインには届かなかったわけですが……。投開票前からダメな雰囲気は感じていて、落選しても再起不能にならないよう、お金はなるべくかけないよう活動費は抑えていました。他党のような個別訪問や地元とのつながりなどが無かった点が反省です」
次の出馬のタイミングを探りつつ、現在は政治家女子~を離れ、政治活動を続けている。7月18日には支持者と2人で「自由次世代党」という政治団体を立ち上げ、新宿・大久保公園の立ちんぼやトー横キッズなどの視察を行っている。
「若い人にまず政治への関心をもってほしいとの思いを込め、党名は自分で考えました。まずは同世代の問題として、トー横を定期的に視察しています」
並行して吉原や五反田などの性風俗店で働いてきた。セクシー女優としては、この8月に新作を撮影予定だという。だが「撮影から期間を置かなくてはならないAV新法のおかげで、発売は年明けになりそう」。
さまざまな顔をもつ彼女だが、つい昨年まで三等陸尉の自衛官だった。
不和家庭から防衛医大、そして自衛隊病院へ
愛知県名古屋市生まれの蓮民は、薬剤師の父、看護師の母、3つ下の弟がいる家庭で育った。どんな家族だったのかと尋ねてまず彼女が口にしたのは「父と母の仲が悪くて」。父が母に暴力をふるい、母が包丁を手に応戦するなど、幼少期に強烈な体験をしたようだった。
「でも根暗なのでグレることもなく。中高時代はソフトテニスと陸上の長距離をしていましたが、家では『ハルヒ』などのアニソンをかけてひたすらひとりで踊ってましたね。校則が厳しかったのでバイトもせず、部活か勉強かアニメ、という青春です」
実家の雰囲気に耐えられず、高校からは父方の祖母の家に一人で移り住んだ。だが不仲は父と母にとどまらず、それぞれの親戚を巻き込んでのものだった。「ここに長くいるとろくな大人にならない」。手に職をという発想から看護師、そして家のしがらみから逃れたいという思いから、全寮制である防衛医科大学校の看護学科へ進学した。学費がかからないうえ、入学すれば自衛官として10万円ほどの給料をもらえる点も魅力だった。
「学校は埼玉県の所沢市にあり、4人部屋で4年間を過ごしました。看護学科でしたが皆さんがイメージするような匍匐前進の訓練などはあり、普通の大学生活とはかなり違っていたと思います。飲酒は学内にある隊員クラブのみで許され、大浴場でのお風呂も制限があって、たしか22時までだったかな。外出は許可制で平日は基本的にできないという環境です。土日に池袋の『アニメイト』へ行っていましたね」
制限のある生活だったが、初めての恋愛も経験した。一つ上の先輩だ。全寮制の環境でどう恋人と過ごしたのかといえば「向こうは医学科で半個室を与えられていたので」だそうだ。
しかし、学費が免除されたこの環境が、結果的に彼女を性風俗の道へ向かわせる決心をさせた。
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