「両論併記」と「非(避)決定」――対米開戦を導いた日本の意思決定システムの宿痾

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 日本が太平洋戦争開戦に至る過程は、ナチスドイツによるポーランド・ソビエトへの侵攻とはかなり異なっているように見える。ヒトラーの明確な決断が開戦に結びついた後者に対して、大日本帝国が対米戦に踏み切った過程は、主体的に戦争に積極的な人物が見当たらない。

 明治憲法下では、当初、元老が国家の重大な決断を下していた。しかし、その後、政党政治が続いたのち、満洲事変後、軍部が台頭する。一見すると、彼らの意のままであったかに見える政策も、よく見ると、さまざまな政治主体が意思決定に関わっていた。...

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