75年ぶりに新しい路面電車が誕生 LRT新時代は到来するか?

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広島、岡山での試み

 広島県広島市の玄関でもある広島駅は2025年に建て替えを予定しており、それに伴って広島電鉄(広電)が駅構内へと乗り入れる計画を進めている。広島電鉄は国内では最長の路面電車網を有するが、現在の広電は広島駅南口の駅前広場に電停を設けている。これを駅構内へ移設することにより、広電とJR線との乗り換えの利便性を向上させる狙いがある。

 現在の駅前広場に設置されている電停でも乗り換えの便は決して悪くないが、駅構内へと移設することによりさらに利便性が向上することは言うまでもない。

 広島市では、2003年にJR西日本の横川駅を建て替える際にも広電の横川電停を駅前広場内へと移設している。それまで広電の横川電停とJR横川駅の間には幹線道路があり、両者の乗り換えには時間を要した。特に雨の日は不便だったが、それも電停の移設によって解消されている。

 広島駅でも同様のことを実施するわけだが、これは鉄道事業者である広電とJR西日本のみならず広島市民や市外からの通勤・通学者にとってもメリットのある施策になるだろう。

 同じく岡山県岡山市でも、JR岡山駅と岡山電気軌道(岡電)の岡山駅前電停が約180メートル離れている。そのため、両者は使い勝手がいいとは言えなかった。そうした使い勝手を改善するべく、線路を延伸してJR岡山駅の駅前広場へと乗り入れる計画が進められている。

 こうした事例を見る限り、路面電車の再評価と復権はゆっくりながらも着実に進んでいると言っていい。

 そして、このほど新規開業する宇都宮市のLRTが起爆剤になって、2000年前後に各地で浮上したLRT構想が息を吹き返すことも期待したい。路面電車は決して前時代の乗り物ではない。

小川裕夫/フリーランスライター

デイリー新潮編集部

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