ドン底から脱出「ドムドムバーガー」の女性社長、「仰天メニュー」開発のために担当者を“減らした”理由

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コロナ禍に“黒字”転換

 大きく店舗数を減らしたドムドムは、競争の激しいハンバーガー業界でどんどん存在感が薄れていた。ところが、2017年に数々のホテルを再生してきたレンブラントホールディングスが買収し、株式会社ドムドムフードサービスを設立。さらに、ドムドム再生のために入社し、出向していた新橋の居酒屋の元女将・藤﨑忍氏が2018年に社長に就任すると、流れが大きく変わった。アパレルとのコラボ商品が発売され、「丸ごと!! カニバーガー」のような新種のバーガーが店舗でもSNSでもバカウケ。さらにマスコットキャラクターの象「どむぞうくん」も人気になり、グッズ展開されるようになったのだ。業績も徐々に回復し、コロナ禍中の2021年3月期に初めて黒字に転じると、2023年まで3期連続で黒字を達成した。

 6月2日から東京・池袋の池袋パルコで期間限定オープンしたポップアップショップは、初日のみオンラインで整理券を発行したところ、公開後1時間以内に全時間帯が予約でほぼ埋まったという。ショップには若者の姿が多くあり、想定を大きく上回る来場者があったことで、期間を20日間も延長。続いて名古屋パルコでも7月29日から期間限定オープンした。完全に上昇気流に乗っているのだ。

 藤﨑社長はドムドムの何を変えたのか? 

「私が入社した当時、例えば会議で、社員は役員が言うことをただただ受け賜るだけでした。その場で質問も出ませんし、改善策も出ません。皆さん、再生したいという思いはあったんですが、どこに向かうか、何をしたいかが言語化されておらず、これはやりづらいなと思いました」

「美味しいのはお客様との最低限の約束」

 長い低迷の末、組織はすっかり活気を失っていた。社員として問題点を見ていた藤﨑氏は、入社から9ヵ月後に社長に就任し、ゆっくり改革を始める。

「社長としてまず考えたのが社内風土の改革です。とはいえ、元居酒屋のおばさんが入社して9ヵ月で社長になって、皆さん不安だろうと思ったので、1年半かけて社員の皆さんやお店の方々と信頼関係を築き、同時に最大手さんがすごく強いハンバーガー業界で、私たちはどこに向かっていくのか、“独自性”を模索していました」

 こうして藤﨑社長が導き出したのが、「美味しいのはお客様との最低限の約束」という全社員・店舗に向けての標語と、「お客様やスタッフの人生に寄り添い並走し、共感することでブランドを培う」という指針だ。

「いま、どこで食べても美味しいですからね。美味しいのは最低限、当たり前のこととして、プラスαのことをしましょうってことですね」

 藤﨑氏は各地の店舗を回りながら、それぞれの店が固定客をつかんでいる一方で、新規客を獲得できていないことに気がついた。そこで「店舗でお客様を待つだけじゃなく、いろんなイベントに出て行き、アパレルなど異業種とコラボすることで新しいお客様と接する機会を作ろう」と積極策に出る。ドムドムには古くからのファンがいる一方で、そうして新たに開拓できた層はドムドムへの先入観がない。だからこそ、「うちはこんなブランドですよと提示するのではなく、お客様と共感、共存しながらブランドを作っていこうと思ったんですね」。

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