駐日大使館に勤務する外交官の娘がドラッグストアで万引き 公安警察官に母親が泣いて頼んだこととは
夫には内緒にして
「お店の防犯カメラを見ると、中学生が過去に万引きをしていた証拠もなかったこともあり、被害届は出さなかったようです。親に来てもらって商品の料金を払い、2度としないという誓約書を書いて貰えば良い、ということになりました」
勝丸氏は、警察署で外交官の娘と面会した。
「『なぜ万引きなんてしたの?』と聞くと、彼女はただ泣くばかりでした。母親も泣いていました。『万引きは初めて?』と言うと、『うん』と頷きました。中学生は5000円所持していたので、お金に困って万引きしたというより、スリルを味わいたかったのでしょう。『こんなことをすると大変なことになるからね』と釘を刺しておきました」
勝丸氏は、外交官の妻からこんなことを頼まれた。
「父親の外交官は出張中だったのですが、娘が万引きしたことを夫には内緒にして欲しいと言うのです。娘の万引きを知ったら、必ず娘は殴られる、というのが理由でした。『夫に娘の万引きを知られないようにすることは可能ですか?』と言われて、『可能です』と答えました。警察としては、母親に来てもらっているし、娘ももう万引きはしないと反省しているから、警察も外交官に娘のことを話すことはないと伝えました。彼女は安心したようでした」
それから1年後、件の外交官は任期がきて本国へ戻ることになった。
「離任の前に外交官と食事をしました。娘さんのことは話題にならなかったので、万引きのことは知らないようでした」
外交官が帰国する直前、勝丸氏の携帯に奥さんから連絡があった。
「『娘のことで大変お世話になりました。本当にありがとうございました』と丁寧にお礼を言ってくれました。日本にいる外交官との間で波風を立てるのは得策ではありません。何か起きた時に協力してもらえない可能性があるからです」