「ヒルナンデス!」卒業のオードリー 根強い人気を支える若林の「違和感」と春日の「外面」

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いまも語り継がれる「椅子破壊事件」

 6月28日、お笑いコンビのオードリーが日本テレビの昼の情報番組「ヒルナンデス!」の水曜レギュラーを卒業した。番組が始まった2011年から12年間にわたってレギュラー出演していた彼らは、MCを務める南原清隆に花束を贈呈された。

「ヒルナンデス!」のオードリーといえば、「椅子破壊事件」でも知られている。視聴者プレゼントのコーナーで“耐久性に優れた”椅子を紹介する際、その性能を示すために春日が勢い良く椅子に乗っかった。そして、2人で揺らして力を加えていたところ、椅子の脚が折れてしまったのだ。

 そんな生放送ならではのハプニングも話題になるなど、彼らはこの番組の名物キャラの1組として長年親しまれてきた。

 オードリーは根強い人気を誇るお笑いコンビである。2008年の「M-1グランプリ」で準優勝してから、テレビの出演回数が一気に増えて人気者の仲間入りを果たした。最初は見た目にインパクトがある春日の方が目立っていて、若林は地味な存在だと思われていた。

 しかし、そんな若林の面白さやしゃべりの上手さが少しずつ認知されるようになり、MCとしての仕事も徐々に増えていった。オードリーが長年にわたって第一線で活躍し続けられるのはなぜなのか。

スキルは高いが違和感を引きずる「若林」

 彼らのホームグラウンドと言えるのが、深夜のラジオ番組「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)である。ここではテレビとは違う一面を出して、じっくりと本音に近い生の感情を話すことができた。それが多くのリスナーに愛され、今ではラジオ界でも有数の人気番組に成長した。

 2019年には、日本武道館でラジオ番組のイベントが行われた。2024年2月には、東京ドームで開催される予定だ。ラジオ番組のイベントとしてはかつてない規模である。ラジオ番組という心のよりどころがあるからこそ、彼らはテレビでも輝くことができる。

 若林の芸人としての魅力は、総合的なスキルが高く司会進行もできる器用さを持っているにもかかわらず、真正面からテレビの仕事をすることに対してどこか後ろめたさや違和感のようなものを持っているところだ。

 ほとんどの芸人は、テレビに出るようになってしばらく経つとその違和感を忘れてしまうものだが、彼はいつまでもそれを引きずっていて、ラジオ番組や執筆業ではそんなナイーブな部分を生かした仕事をしている。芸人やタレントの普段は言わない本音が漏れるトーク番組「あちこちオードリー」(テレビ東京)でも、若林のそんな資質が生かされている。

 若林は南海キャンディーズの山里亮太と「たりないふたり」というユニットを組んで、漫才を演じていたこともあった。そんな若林と山里の芸人としてのこれまでを描いたドラマ「だが、情熱はある」(日本テレビ)も話題になった。

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