甲子園、酷暑でのプレーは虐待か? ファンは「高校球児が涼しげだとビールがまずい」、球場に屋根を付けない理由とは

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猛暑が緩和されるのかを検証せずに支持

 7月28日、阪神電鉄が計画を公表した。朝日新聞は《甲子園球場の銀傘、アルプス席まで拡張 暑さ対策「観戦環境改善を」》と題して伝えた。

〈近年、甲子園球場で開催される全国高校野球選手権大会は暑さ対策が大きな課題となっている。同社は「グラウンドでプレーする選手と同様にアルプススタンドで熱戦を繰り広げる学校応援団の観戦環境を改善し、高校野球の聖地としてこれからも阪神甲子園球場が進化を続けることで高校野球文化の継承を図りたい」としている。

 この日、開かれた第105回全国選手権記念大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催、阪神甲子園球場特別協力)の運営委員会で構想を説明した。〉

 出た、自画自賛・共同戦線! 銀傘拡張で猛暑が緩和されるのか、ほとんど検証せずに支持している。

誰が責任者か分からない体制

 今回の取材を通じて、つくづく日本高野連が兼備する二面性に気付かされた。

 日本高野連は「甲子園の全国大会」を主体に考えている。地方大会は各都道府県連盟の管轄だ。地方や現場に関与しすぎない日本高野連のスタンスも責任の所在を実は曖昧にしている。

 一体、日本高野連とは誰なのか? 「教育の一環」と謳うわりには新聞社の意向を強く反映する組織だ。コロナ禍の20年、センバツや夏の大会の中止を決めた記者会見の真ん中には日本高野連の会長でなく、毎日新聞と朝日新聞、それぞれの社長が座っていた。しかし、大会以外の運営に関しては、朝日、毎日とも深入りしない。もし日本高野連が独裁的な組織と非難できるなら、問題はすべて日本高野連にあると糾弾できる。しかし、「大事なことはみんなで時間をかけて話し合う」と謳い、一方で「即断即決」もする。さまざまな意味で日本高野連は「二面性」を併せ持ち、意図的か無意識か、見事に責任を分散し、誰が当事者なのかわからない体制が出来上がっている。

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