甲子園、酷暑でのプレーは虐待か? ファンは「高校球児が涼しげだとビールがまずい」、球場に屋根を付けない理由とは

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 かの地で活躍した松井秀喜氏や、馳浩元文部科学大臣、更には原晋青山学院大陸上部長距離監督まで、その危うさに警鐘を鳴らす声が高まっている。炎暑の甲子園球場で高校野球を催すのはもはや虐待ではないか。スポーツライターの小林信也氏が主催者たちに迫る。

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 熱中症警戒アラートの中で高校野球地方大会は強行された。神奈川の決勝では8回裏に球審が交代。兵庫の3回戦ではリードしていた明石南の選手6人の足がつり、逆転負けを喫した。

 夏の高校野球を猛暑下で開催していいのか? 私は日本高等学校野球連盟(日本高野連)と朝日新聞、毎日新聞、NHKに質問状を送った(6月14日郵送)。

〈災害的とも認識されるここ数年の猛暑の中、8月に夏の甲子園(全国高校野球選手権)を実施する危険性を回避する必要は感じられませんか?〉

 7月8日、日本高野連から文書で回答が届いた。

〈近年は特に暑さ対策として、必要に応じた水分補給(ミネラルウォーターやスポーツドリンク)の推奨、ペットボトルなどによる手掌冷却のほか、球場の協力もいただいてベンチ内のスポットクーラーやベンチ裏へのアイスバスの用意、大型冷風機の設置、アイスベストの活用などを行っています。〉

「照り返しがすごくて倒れそう」

〈今年夏の甲子園大会からは5回終了後に10分間のクーリングタイムを設け、選手が体を休められる対策をとります〉

 以下、ベンチ入りを今年から20人に増やした、地方大会にも猛暑対策の助成金を拠出している、などと書かれていた。丁寧な回答には感謝するが、旧知の話ばかり。しかも「最善を尽くしている」の一点張りだ。

 私は4年前、夏の大会中に甲子園を訪ね、田名部和裕理事(現顧問)から猛暑対策の現場を詳しく案内してもらった。ベンチ裏からスタンド内外まで、涙ぐましい対策に頭が下がった。「何があっても夏休みに甲子園で大会を開く」伝統を守り抜こうという執念に脱帽した。その詳細をネット媒体に寄稿すると、同大会に出場していた球児から電話が来た。

「甲子園球場は猛暑対策が取られていましたが、練習で割り当てられたグラウンドは照り返しがすごくて倒れそうでした。甲子園も、ベンチ前の手すりは熱くて、触るとやけどしそうでした」

 その体験談を聞いて、真夏を避けることがやはり根本解決だと思うに至った。

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