パワハラ「ビッグモーター前副社長」に欠如していたこと 年1000人の経営者を取材する男が語る「優れた2代目経営者」との比較

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2代目の気概

 静岡市に本社がある鈴与は、1801年、廻船問屋として創業された。それから200年以上が経過し、現在の会長である鈴木與平氏(旧名・鈴木道弘=82)は8代目だ。

「倉庫、物流、缶詰、給油、航空、スポーツ関連と、鈴与が傘下に持つグループ企業は約140社と言われています。ここで初代から8代目の社長を、それぞれ『先代の後を次代が継いだ』という2代目の継承が繰り返されたと見てみましょう。いたずらな多角化で失敗した企業も山ほどありますが、“7人の2代目”が『先代の足りないところ』を的確に見抜いた結果が、約140社というグループ企業に結実していると思います」(同・村田氏)

 父親の長所と短所を見抜くことができる2代目社長なら、社員を見る目も確かだろう。その際、2代目には「強さと優しさ」が求められるという。

「社内をまとめ上げるには、強いリーダーシップが必要です。しかし、単に威張り散らすだけでは社員はついてきません。そこに優しいケアがなければ、社員の心は荒んでしまいます。私はビッグモーターの兼重さん親子とお目にかかったことはありませんが、これまでの報道を読む限り、息子の宏一さんに優しさがあったようには思えません。部下が失敗したら責任は2代目が負うくらいの気概を見せれば、パワハラで恫喝しなくとも社員は喜んで働いてくれるはずです」(同・村田氏)

註:公開!ワンマン経営の果てに…ビッグモーター「兼重前社長親子の大豪邸」と戦慄の「罵倒LINE」(FRIDAY DIGITAL:7月28日)

デイリー新潮編集部

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