お盆期間中のSAPA問題、高速道路の大迷惑…トラックドライバーが明かす、知っておいてもらいたい彼らの諸事情

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連休中の安全のために

 SAPA内だけでなく、連休中の高速道路における安全運転のため、トラックドライバーから普段高速を走り慣れていない一般ドライバーに向けて助言や要望を聞いたところ、次のような声が多かった。

(1)ファスナー合流を厳守してほしい
 ファスナー合流とは、合流車線が終わる一番先で、1台1台交互に合流する方法のことをいう。一度に複数の車両が合流しようとすると、本線にいる多くの車両にブレーキを踏ませることで渋滞をつくってしまうのだ。

「SAPAやインターなどから本線に合流する時は、『ファスナー合流』でお願いしたいです。渋滞時には特に」

「お盆は各地で渋滞が予想されますが、ファスナー合流は守ってほしい。仕事で時間が決められている身としては渋滞の原因になるような現象はできる限りつくりたくないんです」

(2)むやみに車線変更をしないほうがいい
 さらに、渋滞時に車線を頻繁に変えるのもあまり意味がないという声も。こちらも渋滞の原因になるだけでなく、車線変更をするたびに事故のリスクも増えるという。

「休暇中は二輪車(バイク)も増える。渋滞している列の間をすり抜けようとするバイクも多いので、車線変更は道路上ではリスクになることは頭に入れておいた方がいいです」

(3)スピードを安定させてほしい
 そして安全で効率的な道路づくりのために、「波状運転」(加速や減速を繰り返す運転)はやめてほしいという声も多かった。

「普段、遠出しない一般車ドライバーには、一定の速度で走れない人が多いと感じます。トンネル入口で速度が落ちトンネル出たら加速…その繰り返しでとても危険」

「一定の速度で走る。車間を詰めブレーキをパカパカ踏まない。これで渋滞が少しは緩和される気がします」

「トラックを追い越し、前に入ったら突然スピードを緩めないでほしい。トラックは常に一定の速度で走って負担や危険を軽減しているので、突然目の前で減速されると事故の元になる」

「わざわざ車間を詰めるためにブレーキとアクセルを交互に踏んでも意味がありません。いくら車間を詰めても到着時間が早まることはないので」

 運転に慣れない人たちも多いだろうが、高速道路は文字通り「高速」で走る道路だ。1つの気のゆるみや迷いが大きな事故に繋がることもある。

 安全運転は決してひとりではできない。

 いい休暇になるよう、車両種に関係なく1人1人が安全運転を心掛けてほしい。

橋本愛喜(はしもとあいき)
フリーライター。元工場経営者、トラックドライバー、日本語教師。ブルーカラーの労働環境、人権、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆・講演、メディア研究などを行っている。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)、近著に『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路~現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』(KADOKAWA)。

デイリー新潮編集部

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