官僚を震え上がらせる河野太郎大臣の“締め切り病” 口癖は「早くやれ」でトラブル続出
7年半前のミスが発覚
同制度の対象者は住民登録が移っているためひもづけが自動で行われず、手作業の必要があった。
「個人情報を照会するシステムを使ってひもづけたのですが、同姓同名で生年月日も同じ全くの別人とひもづけてしまったのです。そして今年6月の振り込み後、本来受け取るはずだった方から“市からきた振込通知の振込先が自分の口座ではない”と市にご連絡いただき、誤振込が発覚しました」(同)
つまり、7年半も前のミスが、いまになってようやく発覚したというわけ。しかも、公金振込がなければ、そのミスが表沙汰になることもなかっただろう。似た事例が全国各地で今後も続々と起きるであろうことは想像に難くない。
医療機関でのトラブルも続いている。北原医院院長で大阪府保険医協会副理事長の井上美佐氏が指摘する。
「先日もマイナ保険証によるオンライン資格確認で、確認できない患者さんがいらっしゃいました。その方は最近、社会保険から国民健康保険に変わり、登録が終わっていないことが原因だったようです。マイナ保険証を利用している方がまだ少ないのにこの現状ですから、保険証が廃止されれば、さらなるトラブルが起こることが予想されます」
かように批判が殺到する中、岸田文雄総理は窮状を打開しようと「聞く力」を絶賛発揮中なのである。
強気だったトーンが急激に落ち…
政治部デスクが言う。
「7月21日の栃木県を皮切りに岸田総理は全国行脚を行っています。政策課題を見つけられそうな施設や場所を事務方が選び、視察しているのです。秘書官は“総理にとって勉強の夏だ”と評しています」
その「勉強科目」には当然、マイナカードも含められている。27日には福岡市のDX(デジタルトランスフォーメーション)施策について河野太郎デジタル相とともに視察。翌日にはDXに取り組む都内の複合福祉施設を訪問している。
「総理はこうした視察をもとに、24年秋に予定されている保険証廃止について、延期する可能性を示唆してきました。それほど、総理は支持率下落を気にかけています」(同)
検討されたのは、延期の他に、マイナ保険証を持たない人が廃止後に保険証の代わりに使用する「資格確認書」について、最長1年としてきた有効期限を延ばす案だった。
31日には、木原誠二官房副長官が厚労省を訪問し、加藤勝信厚労相と面会。しかし、8月1日に予定された岸田総理と河野氏などの関係閣僚会議は、どちらの案にするか方針が固まらず、急きょ延期になってしまった。
「つい1週間ほど前まで岸田総理は“保険証廃止は予定通り推進しなければいけない”と、官邸スタッフに発破をかけていました」
とは政治ジャーナリストの青山和弘氏。
「ところが、最近、強気なトーンを急激に落としているのです。“とにかくいろいろと話を聞いているところだ”としか周辺に漏らさなくなっている。一方でデジタル相の河野さんはあまり変化がなく、“保険証廃止に向け淡々と作業を進める”と話しています。あくまで、マイナ保険証に関する政策変更を決定するのは岸田総理だという意識があるようです」
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