洋上風力汚職「秋本真利議員」が犯した本当の罪 国民負担「400億円増」の可能性もあった事件の深層
洋上風力発電事業をめぐる汚職事件の捜査で浮かび上がった、自民党国会議員と再エネベンチャー企業の癒着の構図――。目下、資金提供が「賄賂に当たるかどうか」が捜査の焦点になっているが、事件の本質は「別にある」との声が上がり始めている。汚職以上に罪深い、彼らが犯した「国民への背信」行為とは。
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東京地検特捜部から収賄容疑で自宅や議員会館事務所などを捜索された秋本真利・衆院議員は、自民党離党後に所属会派(無所属の会)も離脱。“盾”となってきた鎧を失い、特捜部の追及は激しさを増すと見られている。
「秋本議員は同じく特捜部から贈賄容疑で自宅の捜索を受けた日本風力開発の塚脇正幸社長と2021年秋、共同で馬主組合を設立。これまでに塚脇氏は約3000万円をこの馬主組合に支出していますが、組合の口座の実質的な管理者は秋本議員でした。また3000万円のうち1000万円は昨年10月、議員会館で手渡しで受け取ったとされます」(全国紙社会部デスク)
特捜部が注目しているのは、この「1000万円受領」のタイミングという。
「塚脇氏の弁護人は“3000万円の資金提供は馬の購入費用などのために支出したもの”として、賄賂性を否定しています。しかし議員会館で受け取った1000万円は、風力発電事業の入札に関する公募評価基準の見直しが公表された翌日だった。昨年2月の衆院予算員会で、秋本議員は国の洋上風力プロジェクトについて“今後の入札では、評価の仕方を見直していただきたい”と発言するなど、国にルール変更を求めてきた経緯があります」(同)
そのため特捜部は「1000万円」が秋本氏の一連の働きかけに対する“見返り”だった可能性を視野に捜査を進めているという。
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