正統派ミステリー「ハヤブサ消防団」の謎と考察ポイント 一連の事件の深層にあるものは何か
直球ミステリーだが、肩が凝らない
これだけ直球のミステリーだと、観ていて肩が凝ってもおかしくはないものの、そうなっていない。圧倒的な演技力を持つ太郎役の中村をはじめ、中山田役の山本、ハヤブサ消防団分団長・宮原郁夫役の橋本じゅん(59)、団員・藤本勘介役の満島真之介(34)ら主要登場人物の大半が、コメディリリーフ役も務めているためだ。
実力派俳優ばかりそろっているから、こんな構成と演出も可能になる。うまい俳優でないと、シリアスとコメディを演じ分けるのは難しい。
大自然を生かした映像もいい。ロケは群馬県富岡市などで行なわれている。近年のドラマはセットでの撮影か都市部でのロケがほとんどなので新鮮だ。ただし、山間までカメラなどの機材を運ぶのは難作業だろう。
ミステリーと並行して地方暮らしの真実を描いているところも面白い。地方暮らしには一長一短ある。人情は厚く、連帯感も強いが、地域に馴染まない住民は疎外されやすい。煩わしい噂話も都会より多い。地方の美しいところばかり伝えがちなニュースやドキュメンタリーより核心を捉えている。
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