正統派ミステリー「ハヤブサ消防団」の謎と考察ポイント 一連の事件の深層にあるものは何か
中村倫也(36)が主演しているテレビ朝日の正統派ミステリー「ハヤブサ消防団」(木曜午後9時)が第4話を迎える。糸が複雑に絡み合ったような物語で、歯ごたえのある作品だ。一連の事件の深層にあるものは何か。
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賢作の家に火を付けたのは誰か
前回の第3話ではハヤブサ消防団員・山原賢作(生瀬勝久・62)の家が火事になった。おそらくは放火だ。これでハヤブサ地区での火事は計4件になった。
賢作は家に防犯カメラを設置していた。そこには車で逃げていく男の姿が映っていた。車内にあったのはハヤブサ消防団員の帽子。犯人は団員なのか。いや、そう決めてしまうのは早計だろう。
火事が全て放火だとすると、犯人が誰かに濡れ衣を着せようとしても不思議ではない。団員の犯行のように偽装すると、複数いるので、捜査の攪乱も図れる。また、放火の目的がハヤブサ地区の不安を煽るためなら、団員のせいにするほうがより効果的だ。
偽装工作は以前もあったのは知られている通り。住民の間では、3件目の火事の被害者・波川志津雄(大和田獏・72)と滝壺で死んでいた山原浩喜(一ノ瀬ワタル・37)の不仲説が信じられていた。しかし、これはウソ。住民はこのウソによって、浩喜が連続放火犯だと思い込まされた。
ウソを流していたのは太陽光発電の営業マン・真鍋明光(古川雄大・36)だった。それを主人公のミステリー作家・三馬太郎(中村)が第2話で突き止めた。
3件の火事は放火で、真鍋が犯人ではないか。4件目の賢作宅の火事についても怪しいのは消防団員より真鍋だろう。
第3話にはほかにも想像力が掻き立てられるシーンがあった。白髪の老女・野々山映子(村岡希美・52)が部屋に飾ってある写真を仰いでいた。おそらくは“御真影”だ。写っていたのは、ハヤブサ地区生まれの山原展子(小林涼子・33)。この地区で展子を生んだ後、自死した山原倫子(同)の娘である。
映子は第1話でハヤブサ地区の山中で男女5人と夕陽を見るなど、スピリチュアル的な行動をしてきた。新興宗教の信徒と思われる。“御真影”らしきものに写っている展子は教祖的な存在と読むべきだ。
そう考えると、太郎と担当編集者・中山田洋(山本耕史・46)が、釣りから帰る途中に山中で道に迷い、映子と出くわした理由も説明がつく。夕陽を見ていたことなどと合わせて考えると、付近は信徒たちにとって聖地のような場所なのだ。
この時、山中には真鍋もいた。真鍋も新興宗教の一員である可能性が高い。これにより、太陽光発電と新興宗教が結び付いた。4件の火災は新興宗教の意思によるもので、浩喜の死にもこの団体が関係していると見る。多くの視聴者も同じように考えるはずだ。
一方、映像ディレクターの立木彩(川口春奈・28)は映子が御真影を仰いでいる際、そばにいた。おそらくは彩も信徒。それを裏付けるように、第2話で彩は真鍋と見つめ合っていた。ただし、彩は怯えているようだったから、2人の関係は良好ではないのだろう。
彩は第3話で中山田に対し「2年ほど前に東京から移住してきた」と自己紹介した。作家の太郎と違い、映像ディレクターの仕事は地方では不便。それでもハヤブサ地区に移り住んだのは聖地があるからだと考えると腑に落ちる。
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