巨漢スラッガー「佐々木麟太郎」が“気になる弱点”を克服していた…スカウト陣からは「ドラ1は間違いなし」との声も

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「しっかり勝ち切れたことが良かった」

 8月8日に行われた夏の甲子園大会3日目、今大会で最も注目される選手が登場した。高校通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)の佐々木麟太郎だ。相手の宇部鴻城(山口)は、山口大会5試合でわずか5失点とタイプの異なる投手を擁する好チームだった。その難敵を相手に佐々木は、先制のタイムリーを含む3打数3安打1打点と活躍し、チームも4対1で勝利。初戦敗退となった昨年春の選抜の悔しさを晴らした。【西尾典文/野球ライター】

 試合後の会見で、父である佐々木洋監督とともにインタビュー台に上がった佐々木はこの日のプレーについて、以下のように振り返った。

「勝ちにこだわってやってきたので、初戦しっかり勝ち切れたことが良かったと思います。勝った瞬間はほっとした気持ちが一番でした。ただ、大事なのはここからだと思うので、気を引き締めて流れに乗りながらやっていきたいです。(自身の3安打については)結果は気にせずに、打撃の内容と質にこだわっていました。とにかく勝つことに意識を置いていたので、それに対して貢献できたことは良かったと思います。(宇部鴻城は)投手陣の層も厚くて、中盤までなかなか得点できなかったですが、それでも勝てたことは大きかったです。本当に素晴らしいチームで、そんな相手と戦えたことは非常に感謝したいと思います」

 佐々木自身は怪我もあって春からはキャプテンを外れているが(昨年秋はキャプテン)、守備ではファーストから盛んに投手に声をかけ、攻撃中にベンチにいる時も味方を鼓舞する姿がよく見られており、チームの勝利に人一倍こだわっていることがよく分かる。コメントからもとにかくチームのことを考えていることが伝わってきた。

徹底した“内角攻め”を弾き返す

 では、気になるバッティングの内容についてはどうだったのか。

 宇部鴻城のバッテリーは、昨年春の選抜で、市和歌山(和歌山)が佐々木の内角と高めを攻めてノーヒットに抑えたデータを生かして、徹底した内角攻めを見せていた。特に、第1打席はそれが顕著で、5球続けて内角へ速いボールを投じている。それでも、佐々木は少し差し込まれながら、速いボールをレフトに運んだ。

 第2打席は、変化球に対応して、センター左へのタイムリー。第3打席は申告敬遠。続く第4打席では、再び内角の速いボールを弾き返して、サードのグラブを強襲するヒットを放っている。

 佐々木のような、体重100キロを超える“巨漢スラッガー”は、どうしても内角のボールに窮屈なスイングになることが多い。しかし、以前と比べて上半身の力みがなくなり、振り出しが鋭くなったことで、“弱点”と言われた内角への対応力が上がっているようだ。

 佐々木は、試合後の囲み取材で、自身のバッティングについて、以下のように振り返っている。

「(左方向への3安打だったことに対して)自分のバッティングは、とにかくセンターを中心にということを心掛けていたので、結果としてそうなったのだと思います。自分としては、いかに質の高いバッティングをするかということを特に心掛けています。(徹底した内角攻めに対して)コースなども特に気にせず、打てるボールを打つというのが自分のスタイルで、その結果タイムリーにもなって、得点できたことは良かったです。良いバッティングだったかというのは自分では分かりませんが、目いっぱい振るということを意識していたので、それはできたのかなと思います」

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