「調査の実働部隊のトップはゴリゴリの田中派」 日大薬物事件、情報開示が遅れた理由とは?
なぜ、発見から通報までに約2週間もかかった?
「悪質タックル問題」「背任・脱税」で激震が走ったマンモス校・日本大学が再び揺れている。林真理子・新理事長が就任して1年。今度はアメフト部員が大麻と覚醒剤を所持していたことが明らかになり、発覚までの“不審”な経緯に注目が集まっているのだ。さらに、学内での調査の背景には、「日大のドン」と呼ばれ、2021年に所得税法違反の疑いで逮捕された田中英壽元理事長の影も垣間見えて……。
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【写真を見る】北畠成文容疑者のユニフォーム姿。ポジションはDB。試合でも活躍する主力選手だった
すでに明かされているように、今回の事件が発覚するまでの間、複数のメディアや大学関係者にアメフト部員の保護者を名乗る人物から大麻が見つかったという告発文書が送られていた。
7月10日付のその文書にはこう記されていた。
〈7月上旬に日大本部職員が数名アメリカンフットボール部寮に立ち入り、いきなり学生達のベッドや鍵付きの金庫まで全てひっくり返し、持ち物検査をしたとのことです〉
〈その時、(中略)出てきたのが植物片の入ったパケでした〉
〈当該学生にはまたもや何の処分もなく、警察にも通報していません。このまま、隠蔽(いんぺい)するつもりでしょうか。林真理子理事長はご存じでしょうか〉
この告発文が送られた後、18日夜に日大が警視庁に通報している。なぜ、発見から通報までに約2週間もの時間がかかってしまったのか。その間、薬物が学内に保管されていたというから、驚くべきことである。
調査の実働部隊「競技スポーツ部」に問題が…
「今回、大学が隠蔽を意図したなんてことはないと信じたいですがね……」
とは、事情を知るさる日大OB。
「今回の調査の責任者は元検事の澤田康広副学長です。そんなことは考えもしないと思いますよ」
一方、ある日大関係者は、
「薬物の調査の実働部隊は澤田副学長に加え、学内の競技スポーツ部が担当していました。その部が問題で……」
と、別の見解を示す。競技スポーツ部とは、日大本部に属する、運動部を統括する組織のことだ。もちろん、アメフト部も競技スポーツ部所管の一つである。
「ゴリゴリの田中派」
「そこの部長はゴリゴリの“田中派”で知られています。例えば、理事長時代の田中さんと外部で打ち合わせがあれば、ともに出かけて行って、その後の実務を任されていました。競技スポーツ部はその部長を頂点として、各運動部の指導者たちが部下に連なっている。彼らは皆、田中さんの寵愛を受けた人たちで、“田中派”として組織に残ってしまっているんです」(同)
大学は各部署に対し、定期的に「田中氏と接触している職員はいないか」調査を行い、ドンとの接触を断とうと躍起だという。それでも排除できない膿がまだまだ存在しているということか。“浄化”へのいばらの道はまだまだ続くようなのだ。
8月10日発売の「週刊新潮」では、「林体制」となってもなおチラつく“ドン”の影など、日大の抱える問題をレポートする。