打撃はリーグ1位でも、巨人がなかなか勝てない理由 阪神との違いは?【柴田勲のセブンアイズ】

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阪神の戦い方

 阪神は1、2番コンビが機能してクリーンアップにつなぐ。本塁打が少なくても足を使う。犠打、エンドランを決める。タイムリーが出る。役割分担がキチンとしている。

 おまけに守備力も向上した。僅差の試合であってもしのいでチャンスをモノにできる。

 元々投手陣はいい。特に後ろの方が充実している。チーム防御率は阪神が2.75で1位、巨人は3.55で5位だ。

 岡田彰布監督が3分の1の試合をうまく運んでいる。強いチームへの土壌作りをした。

 巨人もここにきてよくなってきた。だが、ちょっと遅かった。先発陣が先に3、4点取られると打線もとたんに淡泊になる。追いつけない。

 巨人と阪神では戦い方が違う。

外してはいけない選手を外した

 開幕からエースの菅野智之が離脱したことが大きかったが、それはどこのチームも一緒である。

 何度も指摘するように吉川尚輝、坂本勇人、丸佳浩、岡本和の四人はケガ以外、外してはいけない選手だ。それが開幕から岡本和は別にして、あとの三人は時に外し、時に打順を降格した。その打順でも試合ごとにコロコロと変えた。チーム全体に落ち着きがないし、役割分担もハッキリしない。

 持っている選手は持っている。若手を使うといっても格が違う。原辰徳監督は主力への我慢ができなかった。

 秋広優人が元の3番に戻った。制約のない5番を打たせてはみたものの、期待通りにはいかなかったということだろう。

 規定打席に達したし、こうなると色気が出てくる。いままでは無心でやってきたが、どうしても欲が出る。これまで見送ってきたボール球にも手を出すようになった。こうなると打率も下がる。

 でも立派なものだ。ここまでよく頑張ってきたと思う。大事なのは3年続けて結果を残すことだ。松原聖弥も一時レギュラーとして外野の一角に食い込むかと思われたが、実現しなかった。

 レギュラーを張り続けるのはそれだけ厳しい。踏ん張ってほしい。

 岡本和の本塁打王は確実だろう。打点に関しては前を打つ打者が出塁してくれるかどうかの兼ね合いもあるが、本塁打に関してはいまの調子なら大丈夫だと思う。

 残り46試合、阪神、DeNAの6連戦、5勝1敗で乗り切ってほしいと前述した。でも、難しいことは分かってはいるが、本当に望むのは大型連勝だ。

 次回の今コラムでどんな話をすることになるのか。期待を込めて6連戦を注目したい。
(成績は7日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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