藤浪晋太郎「FUJI=ノーコン」はもはや関係ナシ 今オフ年俸大幅アップ確実でオリ・山本由伸に影響も
日本人最速165.1キロも「やっちまった~」
指揮官も「自信をつけつつある」と絶賛だ。オリオールズ・藤浪晋太郎(29)が6日(現地時間)本拠地でメッツ戦に救援登板。1回を3者凡退に抑え、日本投手最速の102.6マイル(約165.1キロ)をマーク。移籍後初ホールドをマークしただけでなく、ブランドン・ハイド監督も「彼は、投げたいと思っている男だ」と賛辞を送った。
【写真】前所属のアスレチックスから感謝されている藤浪(アスレチックスの公式インスタグラムより)
ヤンキースキラーと称されるほどの好投、でも、その次は3四死球で大炎上――。藤浪のスリリングなリリーフ登板が、今オフの米フリーエージェント市場にも影響してきそうだ。
「藤浪は、(オリオールズの地元)ボルティモアでも人気者ですよ。スタンドのファンは藤浪の名前がアナウンスされると、『FUJI~!』とエールを送っています」(米国人ライター)
そのスタンドの声援を悲鳴に変えたのは、敵地・ロジャーズセンターで迎えたブルージェイズだった(8月1日・現地時間)。同点で迎えた6回二死一、二塁から2番手で登板したのだが、初球は投げた瞬間に「ボールカウント」と分かる荒れ球。前投手が残した走者が気になったのか、1球もストライクが入らずに四球を与えてしまった。その後は「2者連続」のデッドボール。与四球の次に投げた97マイルの直球(約157キロ)が相手打者のヒップに食い込み、押し出しとなった。
ぶつけられた側のマット・チャップマン(30)は苦悶の表情で一塁に歩き出し、藤浪はそれに背を向け、天を仰ぐ。「やっちまった~」と言わんばかりに後悔していたが、その次のバッターの右手首にも98マイル(約159キロ)をぶつけてしまった。
「内角を襲った剛速球でした。右手首にぶつけられたダニー・ジャンセン(28)は打ちに行ったみたい。真ん中高めの直球だと思ったら、スッポ抜けて自身の体のほうに向かってきたんです。『打ちに行ってぶつかったのだから、死球ではない』との声も出ましたが、オリオールズベンチは抗議しませんでした。というか、ほかのピッチャーが投げていたら、乱闘になっていましたよ」(現地メディア関係者)
乱闘にならなかった理由は、「FUJI=ノーコン」がメジャーリーグ全体に知れ渡っているからだ。相手バッターもぶつけられた瞬間はカチンとくるかもしれないが、故意でないことは分かっているので黙って一塁ベースに向かうのだ。
「2者連続死球の後はショートゴロ。ホームベース付近に投げ捨てられたバットは、真っ二つにへし折られていました。とにかく、スゴイ剛球を投げるピッチャーであることはトロントのファンも認識していました」(前出・同)
「ずる賢く、理にかなったギャンブル」
この炎上劇には“オマケ”もついた。まず、同試合の勝利投手となったのは、同じ日本人メジャーリーガーの菊池雄星(32)。また、藤浪は失点を喫したが、ホームベースを踏んだのは前投手が出した走者2人。自身の出した走者は1人もホームインしていないので、ほんの少しだが、防御率も改善されている。
「前回登板のヤンキース戦(8月1日)では2回4奪三振、無失点と快投しています。米メディアは『ヤンキースキラー』なんて報じていました。2回4奪三振と、3四死球。同じピッチャーとは思えません。でも、何が起きるか分からないスリルが人気を呼んでいますし、優勝争いをしているオリオールズが『賭け』に出た理由でもあるんです」(前出・米国人ライター)
藤浪の移籍は「Uprooted」と報じられた。意外な移籍、トレードを指すそうだが、藤浪の場合は最下位だったアスレチックスから優勝争いを繰り広げているチームへの移籍となるだけがその理由ではなかった。
「ずる賢く、理にかなったギャンブル」
そんな見出しで伝えられたそうだ(ブリーチャーリポート紙/7月19日付)。
米メディアが驚いていたのは、藤浪の交換要員。アスレチックスは26歳のマイナー左腕、イーストン・ルーカスで合意しているが、彼はMLB公式サイトの「有望株ランキング オリオールズ編」の30傑にも入っていなかったのだ。
「ノーコン病でマウンドで投げさせてみなければ分からないピッチャーなのは事実でしょう。優勝争いをしているチームなら、『怖くて使えない』と捉えるでしょう。でも、えげつないストレートを投げます。優勝争いを続けていくなかで藤浪も投げていける、使えると分かったら、それだけで大儲けですよね。伸び悩んでいる若手とノーコンでもMLBの実戦で投げていたリリーバーを交換できました。藤浪にとっても、優勝チームで登板試合数を積み重ねていけば、自身の評価がグンと上がります」(前出・同)
「藤浪自身の評価」とは、今オフの契約更改を指す。オリオールズはアスレチックスが藤浪と交わした「1年325万ドル」(約4億2250万円)の契約を引き継いだので、シーズン終了と同時に、藤浪はいったんフリーエージェント(以下=FA)となる。メジャーリーガーの平均年俸は約441万ドル(約5億5600万円)だから、大幅昇給は必須。オリオールズが、来季も必要な戦力と判断すれば、倍増はもちろんのこと、複数年の大きな契約にも発展する可能性も高い。
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