巨人「秋広優人」はなぜドラフトで評価が低かったのか…球団関係者は「岡本和真を超えるバッターになる」と期待大

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体が強くて、しっかり練習ができている

 この年に限らず、ファーストの選手は、外国人選手とポジションが被るため、ドラフト会議でなかなか高く評価されることはない。秋広には投手経験があるため、肩の強さは確認ができたものの、他のポジションを守れるかは未知数だった。また、3年間で公式戦のホームランはわずかに1本だけで、実戦でそこまで長打力を発揮していたわけではない。こうした当時の実績を踏まえると、各球団が高い順位で指名に踏み切れないのも当然だろう。

 しかし、プロ入り後の秋広は、ルーキーイヤーから二軍で定位置をつかみ、2年目の昨年はイースタン・リーグで最多安打(98本)を記録し、今年は一軍で欠かせない戦力になった。巨人の球団関係者は、秋広の急成長について、以下のように評価している。

「秋広はとにかく体が強いですね。(一般的に)高身長の選手は体ができていなくて、高い負荷をかけたトレーニングが難しいことが多いのですが、秋広は1年目から試合に出続けながら、こうしたトレーニングを積むことができました。(身長2メートルという)上背を考えると、まだ筋肉量を増やせそうですが、高卒3年目にしては十分なレベルまで来ていると思います。それに加えて、器用さもあります。身長が高い選手は、(手が長くて)リーチも長いので、内角のボールが打ちにくく、どうしても弱点になりがちです。ですが、秋広は、(内角のボールに対して)窮屈なスイングにならずに、ちゃんとバットを振り切れている。もちろん、天性の才能もありますが、体が強くて、しっかり練習ができている証しではないでしょうか。秋広のポテンシャルを考えると、近いうちに(巨人の主砲である)岡本和真に匹敵する、いや、それ以上のバッターになるかもしれません」

 ここまで、秋広が放ったホームランは10本。うち半数は内角のボールをとらえたものだ。ライトのポール際に飛んだ打球が、ファールにならないということは、スイングが理想的な軌道を描いている証拠である。ここ最近の試合は快音が聞かれず、左投手に苦労しているとはいえ、これは誰もが通る道。ある程度経験を積んでいけば、解消される課題だろう。“規格外の体格”を生かして、巨人のみならず、球界を代表する打者へと飛躍してほしい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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