「内部告発はこうして握り潰された」ビッグモーター前社長の甥が衝撃の独白! 前社長に不正を通報すると「仲良くせい!」
“毎日不正していますよ”
元従業員は、不正な保険金請求の情報提供ホットラインに通報。が、ひと月以上も音沙汰がなかった。そこで、今度は甥が催促の連絡をした。
甥が言う。
「“毎日不正していますよ。早くしてください”と。そうしたらようやく連絡が来たんです」
こうして損保各社は不正を知ることに。ビッグモーターに調査を要求し、同社もその結果を報告したが、不十分な内容に各社は納得せず。前述の特別調査委員会が設置され、この6月、報告書が提出されて大規模な不正が明るみに出たわけだ。
経緯を振り返ってみると、甥と元従業員、この二名の告発が無ければ、未だに不正は闇に包まれたままだったといえるだろう。
『男の死に方』
改めて、甥は叔父である兼重氏のことをどう思うのか。
「社長は社内では完全に“神様”になっていました。甥の僕ですら声をかけづらい感じで。本人が怖いわけではなく、本人が持つ“権力”がみな怖かったんでしょう。ただ最近は、年齢もあり、経営のほとんどを宏一に任せ、自分はゴルフばっかりしていました」
その宏一氏は記者会見にも出てこなかったことで、今も非難を浴びている。
「宏一は、もちろんいとこで年上の僕に対しては丁寧ですよ。ただ、他の従業員に聞くと評判は最悪ですね。絶対に自分から頭を下げないそうですし、“ボケ”とか罵倒しているLINEも見たことがある。ある店舗に常駐していた業者さんが、お土産にもらった酒を社内に置いていたんですが、それを見た宏一がLINEで“こいつ仕事中に酒飲んでるんですね”“すぐに辞めてもらってください”と送信しているのも見たことがあります」
叔父は昔から“仕事の鬼”だったという。
「ほとんど家にはいませんでしたよ。また、ああ見えて勉強熱心で、家の本棚にはびっしりとビジネス書が並んでいた。読もうとしたことがありますが、すぐに頭が痛くなってやめました。『男の死に方』みたいな本が並んでいたのも記憶にあります」
今となっては実に皮肉なタイトルの愛読書である。
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