レギュラー13本で「かまいたち」時代が本格的に到来 30分番組を1日4本まとめ撮りの荒業も

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

多くの番組をこなせる理由

 どうしてこんなに多くの番組に出演できるのか、という疑問も沸くが、それは2人がタフで仕事に貪欲だからに違いない。例えば「かまいたちの掟」は30分番組だが、1日に4本まとめ撮りする。一般的には本人たちもスタッフも疲れてしまうこともあり、2本である。また、どんなに忙しくなろうが、地方の仕事を降りるようなことはしない。

 そもそも2人はなぜ売れているのか。それは2人がともにクレバーで芸風も新しいからだろう。国立奈良教育大卒業の山内はNSC在学中から、つくるネタが面白いことで知られた。一方、漫才とコント時の役割は個性的だ。狡猾で悪意のあるボケである。時にはサイコパス風のキャラクターにもなる。

 こう書くと、この上なく嫌な奴のはずだが、不思議と憎めない。演じるキャラが根っからの悪党ではなく、どこか小心者的なところを感じさせるからだ。山内自身もかつては内気で、NSC時代は同級生に声を掛けるのが恥ずかしくて、相方を見つけられなかった。押しの強い人が多いお笑い界では珍しい。

 濱家は記憶力が抜群に良いことで知られる。何でもすぐに覚えてしまうという。将棋も瞬く間に上達した。漫才、コントの時の役割は硬軟自在のツッコミ。山内のボケの面白さを最大限に引き出す。

 母校は大阪府立茨木東高。在校中は野球部に所属していたが、控え投手だった。それでも努力家でリーダーシップがあったため、周囲から推されてキャプテンを務めた。かまいたちもネタを考えているのは山内だが、コンビを引っ張っているのは濱家だ。

 濱家はMCとしての評価も高い。生田絵梨花(26)と2人でNHKの若者向け音楽番組「Venue101」(土曜午後11時)のMCを担当している。生放送だが、危うさを全く感じさせない。中高年は全く知らないような若手の新進アーティストにも通じている。

 2人は本業のコント、漫才の実力も折り紙付きなのは知られている通り。2017年の「キングオブコント」(TBS)で優勝し、2019年の「M-1グランプリ」(制作・朝日放送、テレビ朝日系)では準優勝した。

 ネタのほんの一部を振り返りたい。銀行の「UFJ(東京三菱UFJ銀行)」とテーマパークの「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」を言い間違えた山内が、あらゆる言い訳を駆使して誤魔化そうとする「UFJ」。山内が病的なまでに負けず嫌いなところを見せるのが面白い。

 山内が給食費の盗難事件に憤るが、担任教師の濱家が調べたところ、犯人が山内であることが分かる「ホームルーム」。息を吐くようにウソをつく山内がおかしい。名作と呼ばれるネタが多く、それも実力派であることを示している。

 2人そろってのMCもうまい。「ロケ芸人」と呼ばれるほどロケも得意で、1日に30軒以上の店を回ったこともあるという。外国人観光客の爆買いツアーも真っ青だ。これだけ兼ね備えていたら、テレビで売れないはずがない。

 ここで、お笑いコンビがレギュラー番組をいくつ持っているのか見てみたい。サンドウィッチマンとチョコレートプラネットが10本、千鳥とオードリーが8本、バナナマンが7本、ニューヨークが6本――。レギュラー番組の数だけで考えると、かまいたちは既にナンバーワン芸人なのである。

次ページ:お笑い界の主役交代

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。