「立浪監督」“血の入れ替え”を断行も最下位独走中…既存戦力を生かせない中日と上位球団の大きな差

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トレードや現役ドラフトの“収支”はプラス

 7月31日にプロ野球のトレード期間が終了し、残りのシーズンを戦う戦力が確定した。12球団の中で最も活発な動きを見せたのが中日だ。オフには京田陽太と阿部寿樹というレギュラー内野手を放出して話題となり、シーズン開幕後も2件のトレードを成立させるなど、積極的な“血の入れ替え”を断行している。【西尾典文/野球ライター】

 では、大胆な補強は、果たして成功しているのだろうか。結論から先に述べると、活躍している選手は非常に多いと言えるのではないだろうか。本記事の文末に、昨年オフから7月末までに中日に加入した選手と、中日から他球団に移籍した選手の今シーズンの成績をまとめたが、新加入の選手の多くが一軍で戦力となっているのだ。

 現役ドラフトで加入した細川成也は、開幕直後からレギュラーに定着し、オールスターにも初出場を果たした。ここまでチームトップの本塁打、打点をマークするなど、完全に中軸へと成長している。

 シーズン途中に加入した宇佐見真吾は、日本ハムで二軍暮らしが続いていたことが嘘のように好調でヒットを量産。投手は涌井秀章が大きく負け越してはいるものの、先発として投球回は稼いでいる。宇佐見とともに日本ハムから移籍した斎藤綱記は、貴重な左の中継ぎとしてブルペンを支えている。

 一方で中日を去った選手をみると、日本ハムに移籍した山本拓実と郡司裕也は順調なスタートを切り、京田も貴重な内野の戦力となっているが、それ以外は苦しんでいる選手が多い。トレードや現役ドラフトの“収支”は大きくプラスと言えるだろう。

進まない“既存戦力”の掘り起こし

 しかしながら、チームの成績(8月2日終了時点)は、12球団で唯一勝率4割を切っており、最下位を争っていたヤクルトとのゲーム差もじわじわと開いている。ここからよほどの巻き返しがなければ、2年連続の最下位に沈む公算が高い。

 なぜ、新戦力がプラスにもかかわらず、チームの状態が上向かないのか。原因はもちろん一つではないが、“既存戦力”の掘り起こしが進まない点が障壁になっているのではないだろうか。

 特に気になるのが、中堅、ベテラン選手の停滞だ。昨年、投手は高橋宏斗、清水達也、野手では岡林勇希がブレイクし、今年は怪我から復帰した石川昂弥が開花の兆しを見せているものの、揃って実績がなかった若手ばかりである。

 逆に、立浪和義監督が就任する前に主力だった選手のなかで、変わらずに結果を残し続けている選手は、大ベテランの大島洋平だけ。他の選手は軒並み成績を落としている。与田剛前監督時代にベストナインやゴールデングラブに輝いた高橋周平は、今年で29歳で、まだ余力が十分にある年齢であり、起用法次第ではむしろ成績を伸ばすことが期待できたはずだ。

 地元テレビ局のスポーツ担当記者が、立浪監督の“手法”に問題があったのではないかと指摘する。

「野手の打撃に関しては、立浪監督の要求が強く、その打ち方に合わない選手についてはなかなか起用されないというケースが多いようです。移籍した京田選手はまさに典型例であり、高橋周平選手もその1人と言われています。もちろん、岡林選手のように立浪監督のやり方が合う選手もいます。ですが、選手のタイプや身体的な特性によって、打ち方はあらゆる方法があるのが一般的です。現在の中日では、なかなかそれが認められない。実績がある選手は、自分のやり方が認められないとなると、そこからスタイルを変えるのは簡単ではありません。それならば、(現役ドラフトやトレード、FAなどで)他球団に移籍したほうが良いと考えている選手も多いようですね」

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