大谷翔平「左わき腹痛」は重大なサイン 唯一無二の肉体も限界? 日ハム時代に原因があるとの指摘も
投手と打者、2人分の練習による弊害
詳細はトップシークレットだが、大谷は打者と投手の2人分の練習をする。前出の腕の太さではないが、トレーニング施設の担当スタッフは同時に「打者のトレーニング」で、投手としての必須要素を壊していないかを慎重に確認しているそうだ。もっとも、この施設での練習だけをさしているわけではないが、大谷は打者と投手の2人分の練習をしていることになる。日本ハム時代を知るプロ野球OBがこう言う。
「若手時代は投打で2人分の練習をする時間がなく、キャンプ中は打撃練習を途中で切り上げてブルペンに走ったり、練習参加者の名前を記して貼り出してあった予定表を見てオタオタしたりしている感じでした。その影響で若手時代の大谷の走り込み量が他投手よりも少なかったのは事実です。練習熱心なヤツでしたが、どんなに練習しても追いつけない。脇腹痛は本当に辛く、ちょっと体の向きを変えただけでも痛い。新人の頃に走り込みなど、基礎練習が足りなかった選手がなりやすいケガだとよく言われます」
若手時代の走り込みや素振り時間が「貯金」になって、20代後半から30代のプロ野球生活を支え、ラクになる部分もある。日本ハム時代、二刀流に懐疑的な年長のプロ野球解説者が多かったのはそのためだ。
「入団当時、大谷にショートが守れるかどうかテストしています。すぐにダメ出しがされ、ピッチャーと指名打者でやっていくことになりましたが、1日で投手と野手の練習の半分くらいずつをし、それがいつの間にか大谷の練習プランとなっていきました」(前出・プロ野球OB)
また、脇腹のケガは速球派投手の宿命とも言えそうだ。近年、脇腹に負荷を掛けない投げ方も研究されているが、投球フォームには体にひねりが加える動作もある。「タメ」と言われている時間差も生じ、ひねることによって蓄積された力が腕を振り下ろすときにボールへと伝わっていくのだが、そのひねりの動きをしているのが脇腹であって、速球派は脇腹への負荷も大きいとされている。「クセになりやすい」「治りにくい」とも言われており、前述の大谷の痙攣は故障寸前の“キケン信号”でもあったようだ。
大谷はオフの期間にパワーをつけることで二刀流を続けていこうとしているが、投手と打者の2人分の練習をしている消耗度も大きいようだ。
「パワーをつけることも大事な練習です。パワーがレベルアップに直結する箇所もあります。でも、いかに力を抜くか、余計な力を入れないかが多くの野球技術の向上には必要なことなんです。勝敗の掛かった大事なところで必要以上の力が入ってしまって失敗することもあれば、体のどこかを痛くしてしまうときもあります」(前出・OB)
タイガース戦のダブルヘッダーは、エンゼルスがポストシーズンマッチ進出圏に生き残れるか否かの瀬戸際にあった。そうしたチームの状況と「メジャー初完投初完封」の快挙が闘争心に火を点け、二刀流を稼動させているフィジカル数値を狂わせたのかもしれない。
「20年シーズンですが、トミー・ジョン手術から2年近くが経過したということで、投手・大谷の復帰が期待されていました。でも、その年は復帰できませんでした。当時、米国内では、『18年にエンゼルスでは6人の投手がトミー・ジョン手術を受けたが、誰も復帰できなかった。チームトレーナー、医療スタッフの能力に問題があるのでは?』と報じられています」(前出・米国人ライター)
試合前、大谷は重さの異なる6種類のボールを使ってキャッチボールをし、右ヒジのあたりにストレス値を計測するサポーターをつけている。その様子はすっかりお馴染みの光景となったが、それらはシアトル郊外のベースボール指導施設で学んだケガ防止法だ。
大谷は二刀流に必要なフィジカルを鍛えながら、エンゼルスでのサポート体制についても考えてしまう部分もあるのではないだろうか。
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