業界衝撃の「5000円・宮崎牛レトルトカレー」が発売 開発協力者が語る、価格も味も日本一を目指したワケ

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カレーが簡単に儲からない理由

 徳澤さんの熱意が生み出した5000円カレーは、ごろりとした宮崎牛の塊や食欲を誘うスパイスの香り、さわやかな後味など、レトルトカレーのイメージをいい意味で壊す仕上がりだ。今回の開発をアシストした井上さんの「カレー大學」には、こうした挑戦を希望する個人や企業からの問い合わせがあるという。

「ビジネスとして成功させるには『カレーを学ぶ』ことが大切です。『店を出せば簡単に儲かる』ものではない。たとえば、『カレーとは何か』という質問には意外と答えられないものです。日本のカレー以外を知らない方も多い。実はカレーってしっかり分類されていて、細かく分けると100種類くらいあります。そこまで知らなくても、大まかな分類はおさえておかないとビジネスはできません。調理法も売り方も変わるからです」

 井上さん自身がカレーを極めたきっかけは、かつて横浜にあった博物館がきっかけだった。

「カレーやラーメンは好きでしたが、まさか職業になるとは(笑)。カレーを本格的に学び始めたのは、『横濱カレーミュージアム』の立て直しに関わったときでした。だって、知らないとなにもできませんから(笑)。日本の名店巡りはもちろん、歴史やスパイスの学習など、一年365日まさに“カレー漬け”。するといつのまにか、自分よりも詳しい人がいなくなっていた……という感じです」

カレー店に入ると「頭の中にお金がパラパラ降ってくる」

 そこで得た「学ばなければビジネスは成功しない」という教訓が、「カレー大學」の設立につながった。

「『学べと言われてもどうすれば?』という声があったので、テキストの制作に2年くらいかけて『カレー大學』を設立しました。すると有名食品メーカーの方たちにも来ていただけて。やはり、一流の人たちはみんな勉強するんだなと思いましたね。ビジネスの成功も、努力は大切な要素ですよ」

 井上さんの本気度は「カレー大學」の講座内容に表れている。「総合学部」でカレーの全般的な知識を身に着ければ、カレー店経営やレトルトカレー開発など複数の学科がある「専門コース」を受講可能だ。さらに究めたい生徒には、少数精鋭の「大学院」とマンツーマン指導の「カレー博士」も用意されている。元NHKアナウンサーで現在は「カレーアナウンサー」として活躍する内藤裕子アナは、大学院を“首席卒業”した優等生だ。

「総合学部には個人的にカレーを極めたい方も来られます。食べ歩きが趣味で、各店の系統を知りたいといった理由ですね。おもしろいのは、海外駐在が多い商社勤務の方。海外のホームパーティーで日本のカレーを出して外国人に受けたけれど、そのカレーについての質問に答えられなかったという理由でした。また、派遣先の国で食べているカレーについて知りたいというボランティア医師の方もいました」

 現在の井上さんは、日本各地のカレー店に入ると「頭の中にお金がパラパラ降ってくる」という。椅子の数や来客の様子などから、一日の予想売り上げが計算できてしまうのだ。まさにカレービジネスを極めた存在だが、今後は日本カレー界の永続的な発展を目指すとも語る。今回の「5000円カレー」はそれにどこまで貢献できるだろうか。

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