「切断した首を“獲物を誰にも渡さない”とばかりに大事に」 札幌・首切り殺人事件と酒鬼薔薇事件の共通点とは
氷を買い占めた父
それだけではない。道警の家宅捜索で、被害者の首は驚くべき状態で見つかっていたというのである。
捜査関係者が明かすには、
「容疑者宅の2階にある浴室で発見された首は、腐敗が進んでいたこともあって、被害者本人かどうかの確認には歯形の鑑定が必要でした。そのような状態にまでなった首なら一刻も早く処分するか、せめて視界に入らないように隠すかするところ、瑠奈容疑者は、まるで捕らえた獲物を誰にも渡してなるものかという具合に、大事にしていた様子が見受けられたというのです」
しかも、父親までもが率先して娘の蛮行に加担していた節があるという。
田村容疑者宅の近所にあるコンビニ従業員はこう振り返る。
「切断遺体発見のニュースを聞いてから数日後、瑠奈容疑者の父親が氷を買い占めに来たんです。袋詰めの氷を10個も抱えて帰っていったのですが、おかげで店の在庫が全部なくなってしまいました。今思えば首を冷やすためだったんじゃないかと……」
さる近隣住民も一家の異変を感じていたと話す。
「田村さんの家の玄関横に大きめのクーラーボックスがいくつも積まれていてね。あそこのお宅は、キャンプが趣味なんて聞いたこともなかったので、何でなんだろうと思っていた」
思い起こされる「酒鬼薔薇事件」
思い起こされるのは、1997年に起きた「神戸連続児童殺傷事件」だろう。「酒鬼薔薇聖斗」と名乗った犯人は、殺害して切断した少年の首を自宅に持ち帰り、浴室で丁寧に汚れを落としてもてあそんだ後、母校である中学校の正門に放置して、世間に衝撃を与えた。
翻って今回の事件では、猛暑が続く中で遺体の腐敗を防ごうと親子で尽力していたことが想像できるが、さすがに修容疑者は臭気に耐えられなかったに違いない。逮捕当日、首と共に自宅で過ごしていた瑠奈容疑者とは別に、父親は近所のネットカフェに滞在していたところ、道警の捜査員に身柄を確保されたのだ。
実に事件発生から逮捕されるまでの23日間、一家は被害者の首と過ごした格好になる。とはいえ、本来は切断された遺体に接したり間近にいたりすれば、誰もが心に傷を抱えるだろう。
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