悩めるプロ5年目「吉田輝星」 新フォームもいま一つで、今年は未だ一軍登板ゼロの現状

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「金農旋風」の払拭

 昨年オフから試している新フォームだが、問題はやや下がった右ヒジだけではなかったようだ。昨年までは左足をやや高く上げていた。その左足を「元の高さに戻してみたら?」のアドバイスを受けたが、今度は左足を意識しすぎたのか、下半身の動かし方、腕の振り、バランスなど全てがおかしくなってしまったそうだ。

「吉田は先発投手でやっていきたいという目標を持っています。5月ごろ、『こんなボールしか投げられなかったら、先発、リリーフ、どっちも通用しない』と言って苦しんでいました。試合でも打たれ、常にイライラしていたというか」(前出・関係者)

 焦る気持ちが乱れた投球フォームをさらに悪化させた。しかし、ドン底状態だった吉田を救ったのも、先輩のアドバイスだった。キャンプ、オープン戦で思うような結果が出せずにいたとき、ベテラン・宮西尚生(38)の「巧くいかないときは、絶対に体の問題だから」というアドバイスを思い出したそうだ。

 吉田なりに考え、投球フォームをチェックしたところ、「股関節の可動域が狭くなっている」との“仮説”にたどり着いた。その後、投球フォームの再構築だけではなく、鍼灸院にも通い、股関節の動きをスムーズにしようと努めてきた。

「則本がアドバイスしたのは股関節。宮西の助言でたどり着いた改善策も股関節。吉田自身が『投球フォーム』についてよく分かっていないのでは」(前出・スポーツ紙記者)

 しかし、目に見えて成績が良くなったわけではないが、「明るくなった」というのが周囲の一致した意見だ。

「一昨年のオフだったかな。入団して3年が経過したので、運転免許取得の許可が下りたんです。同期の柿木蓮(23)や田宮裕涼(23)らと教習所に通ったんですが、吉田は免許取得が周りよりも遅かったと聞いています。不器用なヤツなのかも」(前出・関係者)

 吉田が投球フォームを固め、自分を構築するまでまだ時間が掛かりそうだ。だが、周囲のアドバイスに素直に耳を傾ける素直さもある。新庄監督は就任時、「清宮幸太郎(24)と吉田を一人前にしてくれ」とフロントに頼まれたそうだ。ともに将来のスター候補として1位指名した甲子園のヒーロー。

 夏の大会が近づくと、吉田のもとには甲子園関連の取材も殺到する。毎年、同じ質問ばかりでウンザリしているのではないだろうか。「金農旋風の吉田」を払拭するには先発ローテーション入りを果たさなければならない。まずは、「自分」を確立すべきだ。

デイリー新潮編集部

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