朝日新聞で起こっている“異常事態” なぜ「Colabo支援者」からの抗議で記事取り消し?
OBも「衝撃を受けた」
元朝日新聞記者で『朝日新聞政治部』著者の鮫島浩氏は次のように指摘する。
「河合さんとColaboの問題そのものの是非はおいておくとして、今回の記事取り下げは非常に深刻なことです。あの記事が世に出るにあたっては、多くの人が関与しています。まず取材した記者がいて、次におそらくキャップクラスが原稿を見る。出稿したデスクだけではなく、もっと上の編集局長クラスも原稿に目を通しているはずです」
その幹部たちが誰も事前に問題を指摘しなかった。
「そのことに衝撃を受けます。そして一旦トラブルが起こるとトカゲのしっぽ切りのごとく記事を取り消してうやむやにして、編集局長も部長もデスクも、自分が責任を問われないことしか頭にない。こういうモラルハザードが起こっていると、現場の記者も、官公庁や捜査機関などの発表をそのまま流す“発表モノ”など差し障りのないことしかやらなくなります」
「ビジネスマンとしてもジャーナリストとしても失格」
若手有望記者3人が同時に退社することについては、
「朝日にいても展望がないし、辞めるのであれば若いうちにと思っているのでしょう。そもそも最近、朝日ではゴマをすって上にかわいがられた人だけが出世するのが顕著になっていて、ジャーナリズムで勝負する原稿を出す人は敬遠されるのです。部長もデスクも失敗しないように、野心的な記者は遠ざける。特ダネを持ってきてもそれを何とか成就させようと考えてくれる上司がいないのです」
もっとも、それは会社全体の方針でもあるそうで、
「朝日のOBやOGが所属する会の会報で社長は、これからは稼げる会社になりましょう、と言い、収益の3本柱はデジタル、イベント、不動産だとしていました。ジャーナリズムはどこへ行ったと批判が巻き起こったのは当然です。笑い話なのは、儲けることばかり考えているのに儲かっていないこと。もはやビジネスマンとしてもジャーナリストとしても失格です」(同)
ジャーナリズムを捨て、儲けることもできずにさまよう朝日。「クオリティー・ペーパー」たらんとする気概も失ったとなれば、その存在意義はどこにあるのか。
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