朝日新聞で起こっている“異常事態” なぜ「Colabo支援者」からの抗議で記事取り消し?
女性記者に地方転勤を命じられない裏事情
リストラなどを進めたことにより、全国の支局を含めた会社全体で人員が減っている。そのため、たとえ子育て中であったとしても「地方転勤」の対象からは外されない。それに加えて、
「今の朝日社内には“女性の職場環境を改善しなければならない”との命題がある。ゆえに、女性記者に地方転勤を命じたら、それだけでパワハラと言われかねない。社会部長としては、社内での自分の立場を守るためには、男性記者と女性記者、どちらに地方転勤をお願いするかとなった時、男性を選ぶしかない」(同)
朝日新聞は3年前、「ジェンダー平等宣言」を発表している。ジェンダー格差の問題を報じるなら、“私たち自身が足元を見つめ直す必要がある”との考えかららしいが、まず取り組むべきは男性記者と女性記者の「地方転勤」の“平等”、ということになりそうだ。
元朝日新聞記者で『崩壊 朝日新聞』の著書もある長谷川煕氏が言う。
「記者が自身や家族との生活を大事にしたいというのは当然のこと。それでも昔は朝日に勤め続けることへの未練があり、転勤を命じられても我慢していました。今はその未練がないか、むしろ朝日に勤め続けることへのマイナスイメージがあるのでしょう」
現役記者たちにそう思わせる背景には、新聞社としての矜持が全く感じられない、次のような“騒動”の影響もあるのかもしれない。
記事削除に社内は大騒ぎ
「今年5月30日、朝日新聞デジタルは、自らを“ジョーカー議員”と称する河合悠祐・草加市議を紹介する記事を配信しました。しかしそれが女性支援団体のシンパなどから一斉に批判され、大炎上。すると朝日は記事を取り消し、削除したのです。この記事は紙の新聞に掲載される前段階で削除されたため、社外ではあまり知られていませんが、社内は大騒ぎになりました」(朝日新聞社員)
問題の記事は「ルポ インディーズ候補の戦い」と題する連載記事の第4回として配信された。
〈京大卒ジョーカー、挫折の先の自己実現 ウケ狙いから当選への分析〉
とのタイトルで、“ジョーカー議員”こと河合市議の経歴や、当選までの過程を本人へのインタビューを元にたどった人物ルポである。
一読して何の問題もなさそうなこの記事が炎上したのは、「Colabo(コラボ)」という団体と河合市議の因縁に“触れていない”ことが原因だった。この団体は、虐待や性被害などにあった女性を支援する一般社団法人。河合市議はツイッター上などでこの団体の活動を揶揄する言動を繰り返していた。そのため、記事が配信されると「Colabo」の支援者らが一斉に批判。朝日はそれに屈する形で記事を取り消したのだ。
ちなみにこの団体に関しては、東京都から受け取っていた事業委託料に「不正受給がある」と住民監査請求が出されて都が調査に入るなど、「カネ」の面でも注目されていた。
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