PGAツアーのモナハン会長は「孤立しつつある」 「カネで解決」の姿勢に疑問噴出

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 PGAツアーを率いるジェイ・モナハン会長が、1カ月に及ぶ休養を経て、ようやくカムバックした。6月6日にリブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」との統合合意を電撃的に発表して以来、モナハン会長には選手や関係者から激しい批判が寄せられていた。6月14日、体調不良による休養を宣言して以来、公の場から姿を消していたが、7月17日から職務に戻り、復帰早々、選手たちにメモを回し、いくつかの懸案事項に対する自身の考えを示した。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

メモの内容

 モナハン会長が第一に伝えたのは、リブゴルフからミリオンダラー(数十億円から数百億円)のオファーがあったにもかかわらず移籍を拒否し、PGAツアーに忠誠を誓い続けた選手に対する「埋め合わせ」のための「プレーヤー・ベネフィット・プログラム」を創設するという意思だった。

 2つ目は、PGAツアーからリブゴルフへ移った選手が再びPGAツアーに戻る際の道筋を創設するためのタスク・フォースを組むこと。PGAツアーへの「出戻り」を希望する選手には、罰金やサスペンション(出場停止)を科した上でカムバックを許可する必要性などが、すでにほうぼうで噂されている。タスク・フォースにはチーフ・プレーヤー・オフィサーとしてジェイソン・ゴアが参加し、PGAツアーのオフィサーたちと討議を重ねて出戻りのためのパスウェイ(道筋)を設ける予定だという。

 そして、モナハン会長が誇らしげに伝えた3つ目は、2024年のツアー・スケジュールをプレーオフ・シリーズ第1戦フェデックス・セント・ジュード選手権の週に発表し、「来季の賞金額はこれまでの記録を大幅に更新する超破格になる」というものだった。

 これらはいずれも詳細は未定で、あくまでもモナハン会長が頭の中に描いている考えにすぎない。

「会長は孤立」

 そんな曖昧な段階でわざわざ選手たちにメモを回したモナハン会長に、米メディアはいたって否定的だ。

 米ゴルフウィーク誌は「かつては絶対的とも言えたモナハン会長の立場が、今ではすっかり危うくなっている」と見ている。そして、モナハン会長が明かしたこれらの考えは「いずれもマネーに関するものばかりだ」と指摘している。

 リブゴルフに行かなかったPGAツアー選手に埋め合わせとしてビッグマネーを支払う考えを伝え、リブゴルフに移った選手がPGAツアーに戻る際にも、罰金などの「お金で解決」の道を開き、PGAツアーの来季スケジュールは破格の賞金を目玉にしている。

 そんなモナハン会長の言動に、米メディアは「会長は孤立しつつある中、マネーの力で人気取りをしようとしているにすぎない」と批判的な視線を向けている。

 その上で、「モナハン会長は完全に孤立しているわけではない。ビリー・ホーシェルとジョン・ラームはいつもモナハン会長の味方だ」と付け加えていたが、味方として名前が挙がる選手がわずか2名というのは危機的状況だ。

 8月1日には、タイガー・ウッズを初めて選手会のプレーヤー・ディレクターに迎えることが発表されたが、それもモナハンの味方を増やすための必死の策だと言えそうである。

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