内部告発をもみ消されたビッグモーター前社長の甥が初独白! 「LINEで不正の証拠写真を送っていた」
「社員の胸倉をつかむなんて日常茶飯事」
「告発時、店では不正が横行していました」
とおいが語る。
「工場長の指示で不正が行われていました。もっとも、私が社長のおいであることはみな知っていたので、私の前では不正はしなかったんです。しかし、裏で指示が出されていた。報道にあるような、車をハンマーでたたいたり、サンドペーパーで傷つけたりといったようなことですね。私らは車のプロなので、見ればわかるんです」
実際、こんなこともあったという。
「その前の工場長の時でしたが、お客さんが持ち込んだ車の窓ガラスがフルスモークだったのに、剥がさないで作業しようとしていた。ちょうどその時に『環境整備点検』がありました」
今回の報道で有名になった「環境整備点検」とは、副社長などが全国の店舗を月に1度程度回り、掃除や整理整頓が行き
届いているかをチェックする“イベント”だ。この際の対応が悪いと工場長などが降格させられることがある。
「上に見つかることを恐れて、工場長は隣のアウトレットモールの駐車場に車を隠した。さすがにまずいと思い、私は宏一に伝えました」
この宏一氏こそが前副社長だ。早大卒業後にMBAを取得し、ビッグモーターに入社。行き過ぎた利益至上主義で不正を生んだ元凶といわれ、父と共に辞任した人物だ。おいとはいとこの間柄になる。
「すると、工場長はすぐに降格になったんです。が、次の工場長に代わると不正は日常化していった。そればかりか、パワハラもひどかった。社員の胸倉をつかむなんて日常茶飯事。残業を終えて帰宅した社員を呼び出して仕事をさせたり、現場に作業を押し付けて自分はクリスマスパーティーをしたり……」
“車ぶっ壊しとるわ”と伝えると…
そんな時、内部告発につながる話を聞いたという。
「工場長の命令で不正に手を染めていたわけですが、不正が嫌いな従業員、協力したくない従業員もいたんです。そのうちの一人が僕のところに来た」
その従業員は20代半ばで、主に板金を担当していた。現在は退職したその元従業員が言う。
「工場長の指示で、後ろのバンパーの中にあるパネルをハンマーでたたいたり、サンドペーパーで線傷を付けたり……。正しい修理をしても、現場のスタッフづてで工場長から“ここもやれ”“あそこもやれ”と不必要な修理を命令されてしまうんです。誰も文句は言えませんでした。言えば工場長が暴れる。部下の胸倉をつかんでいる光景を何度も見ました」
そのため、唯一“上”にモノが言える存在であるおいに話をしたのだという。再びおいが言う。
「話を聞いて、さすがにひどいと思ってね。ある休みの日、現場の人から副社長が環境整備に来ていますよ、と連絡を受け、チャンスだと思って工場に向かったんです。で、宏一に“大変なことが起きとんぞ”“車ぶっ壊しとるわ”と。すると宏一は“えぇっ!”と驚いていた」
社長に不正を報告したが…
その際、おいは「タワー」なるけん引機を用いる不正についても説明したという。車の内板骨格の修正をする際、人力だけでけん引が可能なのにもかかわらず、わざわざ工賃が高額になるタワーでけん引を行い、保険金を過大に受け取る“偽装”である。
「写真を見せて“タワーって知っとる?”と聞いたら、“わからないです”と言う。で、“社長にLINEで送ってください”と言うので、今度は社長に送った」
そこには工場長が不正の指示を記した“証拠”書類の写真も添えたという。ところが、だ。
社長からの返信は「(工場長と)仲良くせい」「何で協力できんのや」との内容だった。
「がくってなりましてね。“いや、協力したらこっちが捕まるがな”と。社長も板金は素人なんですよ。だから僕のLINEを見てもわからなかったんでしょうけどね」
8月3日発売の「週刊新潮」では、ビッグモーター問題の本質に迫るおいの証言を4ページにわたってご紹介する。
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