藤浪晋太郎のトレードは失敗だった? 「優勝を争うオリオールズに居場所はない」
元阪神の藤浪晋太郎(29)が、ア・リーグ西地区最下位のオークランド・アスレチックスから東地区首位のボルティモア・オリオールズへトレード移籍した。
【写真を見る】アスレチックスではすっかり愛されキャラに変貌した藤浪(本人のインスタグラムより)
「最下位確定チームから優勝争いを繰り広げるチームに移ったのですからまぎれもなく“栄転”でしょう」
と語るスポーツ紙記者は、
「ア軍にいる限り望めない、地区優勝、ひいてはプレーオフという大舞台が約束されたようなもの。全米に名を売るチャンス到来です」
ア軍では34試合に登板し5勝8敗3ホールド、防御率8.57だった藤浪だが、7月に限ると7試合で2勝1敗1ホールド、防御率は2.25と上々の成績だった。
ただこの豹変は、彼の心理状態で容易に説明がつく。
「阪神時代から言われていましたが、藤浪はメンタルが弱い。ア軍は6月には優勝の目がなくなり、勝敗はどうでもよくなった。そんなノープレッシャーのマウンドでは、彼はのびのびと腕を振って良い球を投げられるんです」(同)
栄転ではない?
ゆえに案の定というべきか、息をのむ真剣勝負が続くオ軍では“ダメな方の藤浪”に戻ってしまった。
初登板の7月21日、2点ビハインドの7回にマウンドに立った藤浪は初球をホームランされてしまう。2点リードの8回に登板した翌日も、連続四球後にヒットを打たれるなど2点を失い、同点に追いつかれた。
つまり、一般的には吉とされる栄転が、藤浪には凶と出たようなのだ。
「強いチームなら勝ち星は付きやすいですが、東地区は全チームが勝ち越している強豪ぞろいの地区で、対戦相手も強い。その点では一長一短ですね」
と語るメジャー研究家の友成那智氏によると、今回の移籍で彼のメジャー選手としての生命が縮まった可能性があるという。
というのも、藤浪はア軍と契約した際に「マイナー降格させない」という条項を付けたとされる。シーズン序盤、打たれまくって防御率が2桁になっても降格せずに済んだゆえんである。
ア軍には居場所があったが…
しかし、これは諸刃の剣だった。
「選手層の薄いア軍では“ダメな方の藤浪”でも居場所はありましたが、優勝を争うオ軍にはない。より良い選手が見つかれば、藤浪の登録枠は剥奪されます。トレードでは原則として前球団との契約は生きているので、オ軍は彼をマイナーに落とせません。でも、年俸さえ払えばクビにはできるのです。オ軍が藤浪獲得に要した金は135万ドルほど(約1億9千万円)で、使い捨てにしてもダメージは少ない。ア軍に居続けてのびのびと投げてそこそこの成績を挙げていれば、来季はどこかと契約できたかもしれなかったのですが……」(同)
図らずもハイリスクの崖っぷちに立たされた藤浪。だが、活躍次第でハイリターンも見込める。
どちらに転ぶか。