「なからざるべからず」は肯定なのか否定なのか――福沢諭吉の「ややこしい二重否定」の読み方

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 福沢諭吉の『学問のすすめ』ぐらい、原文でも簡単に読めるはず――そう思っている人は多いだろう。たしかに、冒頭の「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という書き出しを見るかぎり、さほど難しくはなさそうだ。

 しかし実際に読んでみると、意外に苦戦する人が多い。その原因の一つは、「ざるべからず」という二重否定がやたらと多用されていることだろう。読んでいるうちに、肯定しているのか否定しているのか混乱してくるのだ。

 他の福沢作品には、「なからざるべからず」という、さらにややこしい表現まで登場する。...

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